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第三話 俺、ライバル宣言されました。その4

 恐らく知っている人間は、ごく一部だと思う。だが、その一方で動物たちには幅広く知られていたりするのが、俺、美樹原健司が今いる○○県S市の地下に広がる地下洞窟内にある風変りな旅館――小狐丸だ。



 そういえば、小狐丸の客室ひとつひとつに固有の名前があったな。ゾウの間とかライオンの間などなど――ああ、格闘道場、茶道場なんかもあったりするんで、他にも多機能型の部屋がいくつもありそうだな。



 ま、それはともかく、ハイエナのかたちをした木製のプレートが貼ってある部屋――その名の通りなハイエナの間へと、俺たちは足を踏み入れる。



「おっじゃましま~す! う、うわ、お菓子の袋があっちこっちに散らばって……わ、なんか踏んだぞ!?」



「それは私の尻尾です、ガウウーッ!」



「ぎゃーっ! なにかが尻に噛みついた!」



「おい、わらわではないぞ!」



「えっ……く、黒豹!?」



 むぅ、ハイエナの間の中に入った途端、俺は唖然とする。豪奢な屏風などが見受けられる部屋のあっちこっちにスナック菓子の袋が散乱しており、おまけに出入り口のところにいた黒豹の尻尾を踏んづけてしまったようだ、痛ぇーっ!



「うっせぇな、誰だよ! 俺は眠りを妨げんのは……ん、沙希じゃん!」



 ん、ハイエナの間のど真ん中に敷いてある布団にごろ寝した状態で頬杖をつくツインテールの女のコの姿が見受けられる。ああ、わかったぞ。コイツだな、沙希が呼び寄せたっていう残念系の魔法少女とは!?



「ムムム、やっぱりいたんですね、黒木さん」



「お前は我が終生の好敵手の茜! どうでもいいが私は黒木ではない……テュポンだ!」



「どうでもいいけど、いい加減、俺の尻を齧るのをやめてくれよ……」



「おい、そいつの尻を齧るのは、この私の役目だ!」



「わあああ、狼姫! なんでお前まで、俺の尻を齧るんだ! 痛い、痛いっつーのぉ!」



 まったく、俺の尻をなんだと思っているんだ! さて、黒豹の黒木――いや、テュポンは沙希が連れている相棒その2である豹の茜とは好敵手という間柄のようだ。毛色が違うだけで同じ豹なのにねぇ……。



「なあ、沙希。ひょっとして、そいつがウワサの新しい魔法少女なんだよな?」



「ええ、そうよ」



「ハハハ、やっぱりか! さっきから、ずっとそう思っていたんだ。お前は俺と同じタイプだからな!」



「お、おい、どういうことだよ?」



「ま、それはともかく……お前、元は男だろう? んで、三十路間近の?」



「な、なにィィ! 何故、それがわかったんだァァ~~!」



 ムムムム、俺の真の姿が、何故わかったんだ!? それに同じタイプって――ま、まさか!?



「わかって当然だろう? 俺はお前と同じ、元男だからな! ワッハッハーッ♪」



「お、お前も元男なのか!?」



「おう、この指輪のおかげで今に姿を維持しているぜ」



 うえー、コイツも元男なのか!? ま、まあ、なんとなく、物腰や仕草を見ていて、そんな気がしていたんだが、まさかビンゴとはなぁ――お、左手の人差し指でキランと輝く指輪は、もしかして俺が身につけている永遠十八歳(エターナルエイティーン)では?



「フフフ、まあ、よろしく頼むぜ! 俺は相沢みるくだ……ん、んんんっ!」



「あ、ああ、こちらこそよろしく頼む! 俺の名前は美樹原健司だ。ま、ミケとでも呼んでくれ……って、お前、どこ見てんだよ!」



「ゆ、許せん!」



「え、許せんって、なんだよ!」



「俺は巨乳が大嫌いなんだ! 貧乳党として、その肉が許せん!」



「お、おわっ! 俺の胸を突っつくなよ!」



「よし……お前は今日から好敵手(ライバル)だ!」



「な、なんだ、お前! むぅ……」



 ツインテールの女のコ――相沢みるくから好敵手宣言(ライバルせんげん)されてしまったぞ!? まったく、巨乳だからって勝手に好敵手にされてしまうなんて――むぅ、本音を言うと俺は貧乳派なんだよなぁ。だから、ちょっと邪魔くさいんだよ、この胸……。



「あら、巨乳嫌いなわけ?」



「わ、あっちゃん! 勝手に合体しないで!」



「うむ、巨乳はいいぞ。強さの証でもある!」



「うーん、それは違うと思うっすけど、巨乳は最高っすね」



 愛梨とアフロディーテが合体した魔法少女アイロディーテ、人間の姿に変身した狼姫は、自身の巨乳を自慢する。それに俺の使い魔のアリスはちっちゃな姿ながらも巨乳だ。その一方で――。



「私も貧乳党かも……イラッ!」



「沙希ちゃん、なんで怒っているの?」



「…………」



「あ、ああ、そういうことね……」



「フン、まあいいわ。役者がそろったことだし、仕置きの依頼人を呼ぶとするわね」



「え、もういるんじゃないのか? 妙な気配を感じるしなぁ……」



 自分も貧乳党だって沙希がボソッとつぶやいた気がする――ん、妙な気配を感じる? 沙希がすでに依頼人とやらをハイエナの間の招き寄せているのでは!?

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