第一話 俺、魔法少女になります。その2
~登場人物~
・狼姫――狼のような姿をした沙希の相棒であり、愛犬(?)
金髪巨乳美女の姿に変身できる。
俺の目の前にいる山崎沙希ってヤツなんだが、容姿は某アイドル並みに可愛いけど、頭の中はとち狂っている。いわゆる電波系だ。
『魔法少女にならない?』
と、俺は男だし、おまけに年齢的なことを考えると、絶対に無理でしょって思えることを突然言い始めるし――。
「さ、ここでいいかしらね」
「ん、浪岡自然公園?」
沙希に案内されるかたちで、俺は実家の近所にある公園へとやって来る。ちなみに、俺が住んでいる○○県S市内にある公園のなかでも、もっとも広大な面積を誇る浪岡自然公園である。
「ここは早朝だというのに人が多いねぇ」
ジョギングに励むオッサン、愛犬を散歩させている老夫婦、ベンチで眠っている酔っ払った青いつなぎを着た若い男――早朝だというのに、ここには人がたくさんいるなぁ。流石は、S市内にあるもっとも広大な面積を誇る公園だぜ。
「うーん、ちょっと人が多いわね」
「沙希、そこの公衆トイレの周辺は人気が少ないぞ」
「うお、今、犬が喋ったぞ!?」
「わらわは犬ではない。狼だ、狼姫だ」
「まあいいわ。公衆トイレの裏にでも行きましょう。そこで〝変身〟してもらうわ、お兄さんには――」
「うへ、変身だぁ!?」
沙希が連れている狼のような大きな犬が今、喋ったぞ! んで、狼姫って名乗った――え、変身してもらう!? 犬が喋ったことも驚きだけど、沙希が奇妙なことを言い出す。ふう、コイツはやっぱり電波なのかなぁ……。
「うん、ここらへんなら人目につかないわね」
「お、おう!」
「ん、どうしたの、お兄さん? なにモジモジしているの? あ、わかった……クククク」
「お、おいおい、ヘンな妄想すんな! お、俺は――っ!」
うう、ヘンな妄想しやがって! 俺は紳士だ。早朝でおまけに人目につかない公衆トイレの裏側だからって、あんなことやこんなことをするような外道じゃない!
「わらわも一緒だ。沙希にヘンなことをしたら殺すぞ!」
「わ、犬が金髪巨乳美女に変身した! つーか、お前までヘンな妄想をすんな、ウギャー!」
沙希の愛犬(?)、狼姫が金髪巨乳美女の姿に変身する――ウギャー! だけど、次の瞬間、元の狼のような大きな犬の姿に戻ると、俺の尻をガブリと噛みつく……痛ェェー!
「どうでもいいけど、この男を強制変身させないか、沙希?」
「ああ、それがいいわね。んじゃ、永遠十八歳……強制起動!」
「な、なんだ、それは!? ぐ、ぐわあああ、身体が熱い――っ!」
おいおい、強制変身ってなんだよ! うがあああ、その刹那、身体中が燃えるように熱くなる……な、なんだ、なにが起きたんだ!? 俺は悲鳴を張りあげ、ドシャッと仰向けに倒れのた打ち回る。な、なにが俺の身体に――っ!