第三話 俺、ライバル宣言されました。その3
登場人物紹介
・茜――沙希の友人である喋る豹。
・タヌキチ――地下旅館の小狐丸、唯一の男。正体は狸のようだ。
ペットショップのケットシーの地下に存在する洞窟内にある風変りな旅館こと小狐丸の従業員は、ウカノミタマという神の眷族を自称する狐の妖怪――妖狐によって運営されているようだけど、よ~く見ると、そんな妖狐じゃない従業員もいるみたいだ。
「おう、タヌキチ! キリンの間のお客さんに、コイツを運ぶんだ!」
「わかったでやんす!」
「カバの間のお客さんがビールを追加注文してきたぞ! さっさと持って行けよ、タヌキチ!」
「わ、わかったでやんす! と、とっとっと……危ない危ない! ビール瓶を落っことすところだったでやんす!」
妖狐じゃない従業員は、漢という文字がプリントされた赤い法被を着たタヌキチという名前の小柄な少年だ。ちなみに、タヌキチは小狐丸で働く従業員唯一の男――雄のようだ。あ、そうそう、真の姿は狸らしい。
「ここは狐のお仲間以外にはキツいんだねぇ……」
「あのチビ男子が仲居さんや料理人にコキ使われているわ」
「ああ、気のせいよ、気のせい。私らはみんな平等、平等……おらあああ、しゃっきとせんかい!!」
「ちょ、綾乃さん、矛盾してますよ!」
「矛盾? フフフフ……私はタダ気合を入れてやっただけです!」
「そ、そうなの? 絶対、気合を入れてやったって感じには見えないんですけど……」
「ウフフフ、好きな男子に意地悪をしたくなる思春期の女のコの心境っていうのは、あんな感じなのかしらね? 綾乃ちゃん~☆」
「わあああ、そんなんじゃありません! 絶対に違います、姉様!」
「え、そうだったでやんすか!? えへへ、照れるでやんす……」
「ち、違うって言ってるでしょう! そ、そんなことより、ハイエナの間へ到着しましたよ、皆さん!」
む、綾乃は話を逸らす。綾音の言う通りだったりして! ま、それはともかく、沙希が呼び寄せたっていう魔法少女が待つハイエナの間に到着する。
「どんな魔法少女がいるのか気になるぜ」
「うん、気になるね! でも、ミケちゃんに似てるんだっけ? じゃあ、すごい人ではなさそう」
「そうね! ミケに似た魔法少女なら、すごくなくっても仕方がないわね」
「すごいとか、すごくないとか、そこらへん関係なく残念系の魔法少女なのは確かよ」
「ご主人様、散々言われてるっすね。でも、間違っちゃいないっすね」
「お、おい、お前ら! 俺を馬鹿にしてるのかァァ~~!」
ぐぬぬぬ、みんなで俺をコケにしやがって! くそーっ! ハイエナの間で待っている魔法少女は、一体、どんな奴なんだ――っ!
「ん、このニオイは私の好敵手の!? ま、まさか、沙希ちゃん……」
「ビンゴよ、茜。この部屋の中にいるのは、あの女よ」
「むぅ、沙希ちゃん、仲間が少ないからって、あのトラブルメーカーにまで声をかけたワケ?」
「ト、トラブルメーカー!?」
「ま、いいではないか、茜。もしもの時は、わらわがアイツが言うことを聞くまで尻を齧り続けてやる!」
「とりあえず、この間のことは相当、悔いているようだから、ふざけた真似はしないでしょう」
「う、うん、それならいいと思う。沙希ちゃんの言葉を信じるよ」
ハイエナの間には、沙希と一緒にいる喋る豹こと茜の好敵手もいるようだ。ま、なんだかんだと、ハイエナの間に入ってみよう。




