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第三話 俺、ライバル宣言されました。その2

 あれから数日が経過する。なんだかんだと、師匠こと地下旅館の小狐丸の女将であり、それと同時に狐の妖怪である妖狐の綾音の特訓のおかげで、俺――美樹原健司は妖狐流呪術の初級呪術をいくつか使えるようになる。つーか、男の姿にいつになったら戻れるんだろう? つーか、まったく戻れる気配がないんですけど!



「へえ、そんな結末になったワケね」



「あ、ああ、標的の精神が壊れちまってね」



「うん、そのせいでパクられなかったようっすね」



「まったく、万死に値する悪事を犯したクセに精神病院に入院だけで済まされるなんて許せないわ! あの時、()っておくんだったわ!」



「ま、まあ、あっちゃん、落ち着いて! だけど、あの女の犯罪が公になったことだし、それはそれで良かったと思うわ」



 俺と愛梨、それにアリスとアフロディーテは、ペットショップのケットシーの地下に広がる広大な洞窟内にポツンと存在する旅館こと小狐丸内にある道場にいる。ああ、説明するのが遅れていたぜ。オレオレ詐欺という外道行為を働く仕置きの対象であった船越陽子は、警察に逮捕されたものの精神異常者としてS市内の精神病院に入院するハメとなったようだ。



「しかし、えげつねぇなぁ、あの女の父親が金を被害者に返還するかたちで娘の罪をチャラにしやがったらしいしな」



 さて、資産家らしい船越の父親が、仕置きを依頼してきた黒猫のサーシャの飼い主である春子婆ちゃんを筆頭としたオレオレ詐欺の被害者全員に対し、娘が騙し取った多額のお金を増額したかたちで返還し、事件をチャラにしたようだ。まったく、金で解決って金持ちのやることはえげつねぇなぁ……。



「まだいるわね。悪いんだけど、新しい仕置きの依頼が入ったわ」



「な、なにィ! もう新しい仕置きの依頼かよ!」



「ええ、今回の仕置きの対象となる外道も、あの船越陽子のようなクトゥルフ眷属邪神群と結託はしてはいる魔術師が標的よ」



「そ、そういや、あの女も魔術師だったな。どんな魔術を使うのか知らないままだったぜ」



 むぅ、沙希が新しい仕置きの依頼を告げにやって来る。そういえば、船越はクトゥルフ眷属邪神群といい異形のモノと結託する魔術師だったようだけど、どんな魔術を使い輩だったのか知らないままだったな。ま、もう知る必要はないかな。



「あ、そうそう、今回はアンタたちの他に、もうひとり魔法少女が参加する予定になっているわ」



「沙希先輩、新しい魔法少女を勧誘したんですか?」



「ん、まあ、そんなところね。好き勝手に行動している同じ穴のムジナがけっこういるから探すのに苦労しないわ」



「そ、そうなのか!? へ、へえ、魔法少女ってたくさんいるんだなぁ……」



「ええ、珍しくなんかないわよ。ほら、彼女とか?」



「わ、豹がいる!」



「茜って言います。こう見えても魔法少女なんですよ! あ、諸事情で豹の姿をしていますけどね」



 沙希の話が本当だと、魔法少女って存在は別段、珍しいものじゃないのかも――って、ウワサをすれば影ってヤツだな! 沙希が相棒の狼姫以外にもう一頭連れている喋る動物こと茜と名乗る豹は、自称、魔法少女らしい。狼姫みたいに人間に変身できるんだろうなぁ、きっと。



「ああ、アンタたちと一緒に仕置きを行い魔法少女は、このコじゃないわよ」



「え、違うの?」



「てか、どんなコなんです?」



「そうね。ミケに近いコだと思うわ」



「な、なにィ! 俺に近いだと?」



「あ、わかった! 元男で三十路間近……とか?」



「おい、なんでそこに焦点を当てるんだよ!」



 沙希曰く、俺に近い存在らしい――お、おいおい、一体、どんな魔法少女なんだよ!



「姉さ……いやいや、女将! 例の魔法少女が来店しました!」



「わ、座敷童……あ、違った。仲居の綾乃だっけ?」



「おい、わざと言ったでしょう? ぶち殺すぞ、ゴルァ!」



「冗談だよ、冗談! だから怒るなよぅ!」



「ウフフフ、お笑いコンビを組んでみては? 中々、様になっているし~☆」



「し、師匠、それはちょっと……」



「私も、それに関しては……あああ、例の魔法少女――みるくと使い魔のテュポンを沙耶がハイエナの間へ案内しております、女将!」



「ウフフ、ご苦労様です、綾乃ちゃん。では、皆さんをハイエナの間へ案内します」



「んじゃ、師匠、お願いします!」



 綾乃は座敷童のような容姿を気にしているようだ。ちと意外だな。真の姿は狐なのに――と、それはともかく、師匠の後についてハイエナの間へ行ってみるとしよう。

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