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第二話 俺、外道にお仕置きします。その10

「皆さん、私は一旦、小狐丸に戻ります」



「うん、その方がいいと思う」



「だな! 飼い主の春子お婆ちゃんは騙し取られた八十万円を取り返せたわけだし!」



「はい! では、皆さん、ご武運をお祈りしています!」



「それでは護衛とばかりに、この私めがサーシャ殿を小狐丸へ責任持ってお送りいたします」



「おう、頼むぞ、田中!」



 さて、マルチーズの田中と黒猫サーシャが離脱する。サーシャの飼い主である春子お婆ちゃんの八十万円を取り戻せたワケだし、後は標的であるオレオレ詐欺グループのボスである船越陽子を仕置きするのみだ。ここからは俺と愛梨の――魔法少女のステージだ!



「ううう、なんだ、てめぇらは! うおおお、俺の素顔を見たなァァ~~!!」



「わ、金髪蜥蜴男が目を覚ました!」



 はわわわ、忘れていた! 俺たち人間のなりすました蜥蜴人間? いや、蛇人間? とにかく、人外である正体を暴露した小柄な金髪男が、カッと目を覚ます――し、しまった! 穏行の術を解いたせいで姿を見られてしまったぞ!



「うううう、てめぇらよくも……うがあああっ!」



「わ、スキンヘッドの大男も目を覚ましたっす! ヒィー、こっちは蛇人間っす!」



 う、スキンヘッドの大男も目を覚ましたぞ……と、次の瞬間、顔面がクパァと割れ、黒い鱗に覆われた蛇のような異形の顔が露わとなる! コ、コイツもやっぱり人外だったのか!



「何者かは知らんが、この姿を見た以上、殺すッッ!!」



「わあああ、金髪蜥蜴男の右手が巨大化した! つ、ついでに右手の五指の爪も、グギャアッ!」



 殺害した人間に生皮をかぶり、そんな殺害した人間になりすます異形のモノにとっては、真の姿を知られることは死活問題である。故に、異形なる真の姿を見てしまったモノ――つまり、この俺、美樹原健司に対し、金髪蜥蜴男は全力を持って叩き潰しにかかるのだった。



「な、なにィィ!! 今の一撃を食らって死なないなんて……ど、どういうことだ!」



「あああ、痛ぇぇっ! お前、前歯が折れたらどうするんだ! 知ってるか義歯代ってクソ高いんだぞ、ゴルァ!」



 グシャッ!! と、金髪蜥蜴男の右手の五指に生えそろった鉤状の爪こと五本の凶刃が、俺の顔面を中心に引き裂く――はずだったが、そんな俺は傷ひとつ受けることはなかった。ヒュー、何故かは知らんけど、無傷で済んだぜ! 



「あれが沙希が言っていたミケの能力ってヤツかしら? 究極肌(アルティメットスキン)と命名しておこうかしらね」



「究極肌!? じゃあ、怪我ひとつ負わなかったのは、俺の能力なのか? と、とにかく、今度は俺の攻撃だ、おりゃー!」



 アフロディーテが究極肌と命名する俺の能力だが、ひょっとしてホッキョクグマに変身した沙希の一撃を食らっても平気だった俺の身体の頑丈さのことか? ま、とにかく、今度は俺の番だ! 掛け声とともに、俺は渾身の右ストレートを金髪蜥蜴男の顔面に打ち放つのだった!



「ああぁ、んだぁ、その攻撃は? 痛くも痒くもないぜ、オラァァ!」



「うご、イタタタっ! てめぇ、また顔面を――っ!」



 あ、あれぇ? まったく効いてないぞ!? 俺は渾身の一撃をブチ込んだつもりなんだけど……。



「ふむ、アンタはトンでもなくタフだけど、攻撃に関してはからっきしね。さて、今度は私が攻撃してみるわね……はあああ、せいやぁーっ!」



「わあああ、あっちゃん、私の身体を勝手に使わないでよ!」



「お、おい、俺を踏み台にするなよ!」



 俺の攻撃力はからっきしって……何気に傷つく一言だなぁ。さて、愛梨と強制合体中のアフロディーテこと魔法少女アイロディーテは、ダッと俺を踏み台に上空へと跳躍する。んで、そんな状態をしばらく維持するとドッと勢いよく金髪蜥蜴男の目がけて右足を継ぎ出した状態で急降下! ちょ、ラ○ダーキック? その刹那、ドガッと金髪蜥蜴男の胸にアイロディーテの突出した右足がクリーンヒットする!



「ご、ごああああっ! な、なにィィ! か、身体が……俺の身体がァァ!!」



「わ、砕け散った! ん、一瞬だけど、金髪蜥蜴男の胸に紋章のようなモノが浮びあがった気がするんだけど……」



 うおおおー! 金髪蜥蜴男の身体がドパァァァンと砕け散る。ちょ、なんちゅー破壊力のキックなんだァァ! むぅ、それに比べて俺の鉄拳は……情けなくなってきた気がしたぞ、ふう。

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