第二話 俺、外道にお仕置きします。その9
『さて、どんな仕置きが必要か話し合おうぜ』
『アンタ馬鹿? 四の五の言ってないで即、行動に移るべしって言うじゃない? うおりゃあああっ!』
『ちょ、愛梨!』
『わーん、私じゃありません! あっちゃんだよ! うえー、身体が勝手に動くゥゥ!』
「ウボァー!」
穏行の術を行使中ってことで標的であるふたりの男に自身の姿が周囲の風景と一体化し、見えなくなっていることをいいことにアフロディーテが即、行動に移る。
「うおおお、瀬戸ォォ! 瀬戸の顔面にクレーターがァァ~~! な、なにが起きたん、グギャゴバァ!」
アフロディーテは愛梨と強制合体し、スキンヘッドの大男の顔面目がけて飛び膝蹴りをぶちかましたぞ! ああああ、グシャアッとスキンヘッドの大男の顔面――鼻を中心にクレーターと言っても過言じゃない凹みが生じる! んで、続けざまに空を裂くような回し蹴りを小柄な金髪男の左の脇腹に叩き込む。
『よし、仕置き完了! とりあえず、死なない程度にぶちのめしておいたわ』
『そ、そうか? 俺にはそうは思えないんだが……』
『ヒイイイッ! 金髪男の左に脇腹が裂けちゃってる! あっちゃんやりすぎ!』
『スキンヘッドの男は顔面のクレーターができちゃってるっす!』
ど、どっちも再起不能だし、おまけに重傷なんですけど! これで死なないボコったって程度って言える? 下手したら死んでしまうレベルだと思うんだが……。
『私がここまでやった理由がわかる? 金髪男の顔をよ~く見ることね。〝今の攻撃〟を受けたせいかはわからないけど、本来の姿を暴露しちゃっているから――』
『わ、わかるか! うおおお、なんだ、コイツら……蜥蜴人間』
『い、異星人? 顔の右分が蜥蜴や蛇といった爬虫類のようだわ!」
「某SF映画に出てくる人間の皮をかぶった宇宙人みたいっすね!」
『むぅ、お前、生まれたばっかりなのに、なんでそんなウンチクを? ま、ああ、とにかく、奇怪な生物だな!』
コ、コイツら……人間じゃないのか!? 愛梨と強制合体した状態のアフロディーテ――魔法少女アイロディーテ(仮)の思わぬ襲撃を受けたせいかはわからないけど、小柄な金髪男の顔面の右半分の皮膚がバリバリと破け、赤い鱗の生えた蜥蜴や蛇といった爬虫類を連想させる怪生物という本来に姿を晒してしまっている。
「なるほど、標的がレベル3という意味がやっとわかりました。皆さん、一旦、穏行の術を解きましょう」
「あ、ああ、了解だ」
マルチーズの田中が穏行の術を解く。その刹那、スゥと周囲の風景と一体化した真っ白な小型犬という身体が俺の目の前に出現する。さ、俺も一旦、穏行の術を解除しておくかな。
「たまにいるんですよねぇ。人間社会に紛れ込んでいる人外が――」
「当然、私も知っているわ。さて、コイツらが人間に化ける方法を知っているかしら?」
「うーん、色々と想像できるけど、なんだかんだとグロい想像ばかりが頭ン中を駆けめぐるぜ」
「うん、ミケちゃんと同じく……」
「ウフフ、そうよね。連中は殺害した人間の生皮を剥ぎ取って、そんな殺害した人間になりすますかたちで人間社会に紛れ込むワケだし――」
「じゃあ、あのふたりの男は人外の犠牲者ってわけね」
「ええ、生皮を剥ぎ取られた哀れな犠牲者よ。ああ、コイツは単に気絶しているだけよ。人間を遥かに上回る生命力があるから困るわ」
「うへ~しぶといっすねぇ。流石は人外っす!」
「ねえ、コイツのボスだっていう船越陽子って女も人外なのかな?」
「うーむ、それはありえる!」
小柄な金髪男、それにスキンヘッドの大男は犠牲者ねぇ。さて、連中のボスである船越陽子も人外なんだろうか? そこらへん気になるぜ。
「あ、八十万円の入った紙袋を見つけたよ。これを春子お婆ちゃんに返さなくちゃ!」
サーシャが爬虫類と人間の混合な生物という本来の姿を暴露した状態で気絶している小柄な金髪男の上着の懐から分厚いナニかが入った紙袋を引っ張り出す。ん、中身は八十万円――よっしゃ! 八十万円回収完了だ!




