第一話 俺、魔法少女になります。その10
気づけば、猫以外の動物――狸や狐、それに梟や鼬なんかも集まってきている。近年、地上二十階以上の高層マンションがS市内であっちこっちで増え続けているが、ここ浪岡自然公園の深奥は、まだまだ野生動物の宝庫なんだなぁ。
「あ、そいつの中にも元人間なんかが混じっているわよ」
「ついでに、わらわのような神の化身とかね」
え、コイツらは元人間だったりするの!? それに神の化身も――うぬぅ、なんだかよくわからなくなってきたぜ。
「え、ええええっ!? 男なんですか!」
「な、なんですってー!」
「ちょ、ふたりそろって、そんなに驚くこたぁねえだろう! ショック度は俺の方が上だっつーのぉ!」
さてさて、俺は沙希からもらった永遠十八歳という指輪のせいで性転換してしまった――と、パートナーになった以上、語っておく必要があるワケで、俺はそのことをキッと意を決し、愛梨とアフロディーテに語る。つーか、ふたりとも驚きすぎィィィ!
「ちなみに、そいつの元の年齢は二十九歳よ」
「うお、それは言わなくていいっつーのォォ~~!」
「「え、えええーっ!」」
ちょ、余計なことを言うな! 実年齢はともかく、心だけは十代でいたい俺の夢が、ある意味で叶いかけてるっていうのに……。
「あ、そうだ。パートナーとして組むこととなったワケだし、今から私の能力を見せますね!」
「うむ、じゃあ、見せてくれよ」
と、愛梨が言う。是非とも見てみたいもんだぜ。
「私の能力は合体です」
「合体?」
「はい、このあっちゃんとの合体です! 準備はOK?」
「ええ、いつでも! それじゃ、合体ィィ!」
え、合体? アヒルのアフロディーテとの合体が能力なのか!? わ、まぶしい……そんな足許にいるアフロディーテを愛梨が抱きあげた途端、赤い閃光が発生する。
「うおお、愛梨が大人の姿に変身した!」
「はい、あっちゃんと合体すると外見年齢が+十歳ほど加算されるんです」
「フッフ~ン、どうい美しいでしょう? てか、地味が小柄な小娘から妖艶の美女に変身する様を見て、どう思ったか聞きたいわね」
「あっちゃん、地味って言わないでよ! これでもお洒落をしているつもりなんだから!」
「え、そうなの? 知らなかったわ、クックックック」
視界不良となっていた赤い閃光が消滅すると同時に露わとなった愛梨は、二十代半ばくらいの妖艶な金髪碧眼の欧米人風の大人の女性のモノに変化している。へえ、アヒルのアフロディーテと合体することで大人の姿に変身できるわけね。ん~地味な少女が妖艶な大人の女の羽化したって感じだ。
「お前らってさ。ホントにお笑いコンビに見えるよ。てか、今度は一人漫才か?」
ふむ、愛梨とアフロディーテの人格が混在しているようだ。そんなわけで、まるで一人漫才をしているかのように見えるぜ。
「さてと、私も大人の姿に変身できるわよ――とまあ、こんな感じで~☆」
ボンッという軽い爆発音とともに、沙希も大人の姿に変身する。実年齢+五歳くらいだろうか? ひょっとして愛梨に対抗したのか?
「背丈は伸びたけど、胸はまったく成長していないな」
「う、うん、ホントですね。私の方が大きいです」
「う、うう、うっさいわね! それ以上、言ったら八つ裂きにするわよ、ウガアアアッ!」
「うわあああ、沙希先輩がホッキョクグマに変身したァァ~~!」
「じょ、冗談だよ、冗談! だから怒るなァァ~~!」
沙希の場合、大人の姿に変身したところで外見の変化があまり見受けられないんだよな。胸なんて、まったく成長してないし、とりあえず、背丈が多少、伸びたかなぁ。
「さて、早速だけど、依頼が入ったわ。今から指定した場所へ向かってもらえるかしら?」
「い、依頼だと!? 外道を仕置きする……そんな依頼?」
「ま、そんなところね。あ、そうそう、アンタのスマホにメールを送っておいたから詳しいことは、そんなメールを読んで確認してもらいたいわ」
「おわああ、なんで俺のスマホのメルアドを知っているんだよ!」
ちょ、いきなり、仕置きの依頼が入った……だと!? ん、沙希から指定してきた場所へ向かってみるかぁ――って、おいィィ! なんで俺のスマホのメルアドを知っているんだよ、お前ェェ~~!




