第八話 俺、とある女神の探し物に奔走します。その9
「うぎゃああああっ! 痛い、痛い、痛ェェ~~!」
「ひゃーっはっはっ! 死ね死ね、クソ女ァァ~~!」
うっがあぁぁ! 光桜学園高等部の演劇部の部員こと泥棒集団セラエノのメンバー川上隆一――人形使いのリュウが操る武器を持った人形たちが、一斉に俺を標的に凶刃を振り回す、そして突き刺してくる!
「ききききっ……一匹、葬ったぜ! 次はどいつを……な、なにィィ! なんで生きているんだ!」
「お、お前、ミミズ腫れが……ほら、ここ! 錐で突かれたところが鬱血してる! アロンダイト、人形共をボコボコにしてしまえ!」
「おう、呼んだか? うおおお、燃えてきたぜ!」
ホント俺の身体って頑丈だなぁ~☆ 武器を持った動く人形たちからの一斉攻撃を受けたのにミミズ腫れと鬱血程度の怪我で済んだワケだし!
さて、俺は右足に寄生する迷惑な奴――人造神アロンダイトに声をかけ、俺の身体に群がった鬱陶しい武器を持った人形たちを弾き飛ばす!
「あらあら、頑丈ね、あのコ」
「アイツは某メタリックボディの魔物みたいな存在ね。弱いけど、トンでもなく頑丈のが売りだわ」
「ふむふむ、それはすごいですね、沙希ちゃん」
「その某メタリックボディの魔物は不味そうだなぁ」
「うむ、容易に想像できるな」
「おい、そこ! 俺をからかっているのか!」
まったく、俺を某メタリックボディの超頑丈な魔物と一緒にしやがって! まあ、強ち間違ってはいない気もするんだよなぁ、むうう……。
「ど、どういうことだ! 僕の人形たちは万能だ! 人間を殺すなんて朝飯前のはずだ! ままま、まさか、お前は人外の類なのかァァ~~!」
ガクガクと全身を身震いさせる川上の顔色が、サーッと青ざめる……おい、誰が人外だよ! くううう、嫌なモノを見るよう目で見つめやがって! 俺はタダ普通の人間の何倍も硬いだけだ!
「ぐ、ぐぬぬぬっ! こ、こうなったら僕が保有する超弩級戦闘人形で……が、があああっ!」
「ウフフ、油断大敵ですよ」
う、デメさんが三日月のような笑みを浮かべている。で、パチンと指を鳴らすと、
その刹那、予め仕掛けておいたと思われる罠が発動する。
「うお、でっかい食虫植物!」
「ハエトリグサってヤツか、アレは!?」
デメさんが予め仕掛けていたと思わる罠は発動すると同時に、川上の背後に巨大な食虫植物のハエトリグサ出現する!
なるほど、コイツ仕掛けておいたね。で、奴の身体をバクッと飲み込んでしまうのだった。
「ぎゃああああっ! 死ぬ死ぬ死ぬぅぅ……あれ、僕はまだ生きてる?」
「はい、まだ生きていますよ~☆ ですが、ここで敗北を認めて、私たちを通してくれれば助けてあげますが、どうです?」
「う、ううう……わかった! 僕の敗北です……って、言うわけがないだろう! 超弩級人形……青銅巨人人形召……ぐえええっ!」
「へえ、青銅巨人人形を所有ですか、どこでそんなモノを? とにかく、呼ばせませんよ、ウフフフ……」
「あうあうあう……ガクン……」
川上の奥の手である超弩級人形とは青銅巨人人形というらしいなぁ――が、ソイツを召喚する前に巨大なハエトリグサに捕らわれた川上の意識は、ズギュウウウンと夢幻郷へと旅立つのだった。
「ウフフ、天樹界から持ってきたハエトリグサが役に立ったわ~☆ あ、良かった差しあげましょうか?」
「そ、そんなでかくて気持ちに悪い植物なんて要らないです! てか、そんなモノを持って来ちゃダメです!」
「あらあら、でも、結果的に助かったじゃない、ウフフフ……」
「む、むぅ……と、とにかく、要らない、要らないったら要らない!」
デメさんが住まう天樹界には、巨大な食虫植物も広く生息していそうだなぁ――が、あんなモノ差しあげるって言われても全力で拒否したいね!
「お、人形共が動かなくなったぞ。ふう、ミケみたいにブスブス包丁でぶっ刺されそうで怖かったぜぇ!」
「う、うん、私たちはミケちゃんの身体みたいに頑丈じゃないから絶対に怪我しちゃうよ」
「下手したら殺されてしまってたかもね~☆」
「ぐ、ぐぬぬぬっ……お前らも刺されたり斬られてみっか? すっげぇ痛いぞ、痛すぎて涙が出そうになったんぞ、この野郎!」
お前らも刺されたり、斬られてみろ! 俺と同じ苦しみを味わえ――と、言ってはみたけど、俺以外は死んでしまう恐れがあるなぁ……。
「イイ植物だねぇ。これをもらってもかまわないかな?」
「ええ、かまわないわ。好きにしちゃっていいわよ、邪神ちゃん」
「フフフ、それじゃお言葉に甘えて……っと、〝中身〟を出して置かなくちゃ!」
「中身? ああ、川上クンのことね」
あの巨大なハエトリグサのナニがイイのか、俺にはさっぱりだ――ま、邪神であるニャルラトホテプの嗜好なんてわかりたくもないんだけどね。
「ん、引っ張り出してはみたけど、少し溶けちゃってるみたいだ」
うっわ、巨大なハエトリグサに取り込まれた川上が、どんな姿になってしまっているかと想像すると気分が――あ、でも、ゴトンとそんな巨大なハエトリグサがナニかをペッと吐き出す。当然、それが川上であることを言うまでもないが……あ、まだ生きているぞ!
「衣服と全身の体毛が溶けてしまった状態だが生きているいぞ。しぶといなぁ……」
「おい、そんな奴、放っておこう! この先に灯りが見える。安達の別荘とやらは、すぐそこだ!」
「よ、よし、先へ進もう!」
ん、沙希が召喚した鬼火以外にも煌々と輝くモノが鬱蒼とした真夜中の森の中に見受けられる――あの灯りの正体は安達の別荘から漏れたモノに違いない。




