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第八話 俺、とある女神の探し物に奔走します。その8

「フン、亡霊共、どこからでもかかって来るがいい!」



「てか、ホントのいるのかぁ、落ち武者の幽霊なんか……」



「どうでもいいけど、真っ暗闇の森の中のあっちこっちに人形が投げ捨てられているぞ!」



 盗賊団セラエノのリーダー安達泰子の父親が所有する別荘へ行くには、夜空で煌々と輝く月や星々が見えないほど密生した巨木と鬱蒼とした雑草の茂みをかき分けて行く他ないようだ。



 まったく、獣道くらいあってもいいじゃないか! ん、鬱蒼とした雑草の茂みの中にフリルがたくさんついた可愛らしいロリータ調の服を着た人形(ドール)が投げ捨てられている――う、一体や二体じゃない! もっといる……ぶ、不気味だなぁ。


 

「わあ、可愛い人形~☆ でも、なんでこんな場所に?」



「愛梨、茂みから引っ張り出しましょう。んで、持って帰りましょうか!」



「ん、待て! それに触っていけない!」



「なのよぅ、アルテミス! ああ、わかった、アンタもこれが欲しいんでしょう? ダメよ、これは私のコレクションにするんだから!」



「あっちゃんは人形集めに没頭してたよね」



「そんなことはどうでもいい! そいつをよ~く見ろ!」



「えっ……は、はわわわっ! 人形が動き出したわ……ナ、ナイフを持っている!」



 ムムムム、愛梨が雑草の茂みに中から引っ張り出した人形の一体が突然、動き出す――うおお、両手に鋭いナイフが握られており、それをズアアアッと振りあげた状態で愛梨に対し、飛びかかる!



「危ない、愛梨! 羽手裏剣(フェザーブレード)!」



「あ、あっちゃん、助かった!」



「むぅ、愛梨、合体よ! 急に妖気が満ち始めてきたわ!」



「な、なにっ……うおおお、茂みの中から人形たちが飛び出してきたぞ!」



「ムムム、どいつもこいつも武器を握っている!」



 ザンッ! と、アフロディーテが投げ放った羽型の手裏剣が愛梨を標的に襲いかかってきた人形を弾き飛ばす――が、すぐに増援とばかりに、鬱蒼とした雑草の茂みの中から、包丁、鋏、錐といった獲物を握った状態の人形たちが飛び出してくる!



「しょ、少佐殿ォォ~~! 救援を要請しますっ……ヘ、ヘルプミィィ~~!」



「ん、あの声は宮城!?」



 暗闇が支配する森の中に叫び声がこだまする――ん、そんな暗闇が支配する森の中に生する巨木に縛りつけられている人間のシルエットが見受けられるぞ!? 



「暗くてよく見えないけど、あれは宮城じゃないのか?」



 暗くてよく見えないけど、アレは先行するかたちで安達の別荘へと向かった宮城のようだ。やれやれ、アイツ捕まったのかよ!



「さて、鬼火を召喚するわ!」



「うお、人魂ァァ~~!」



 轟々と燃え盛る人魂――鬼火とやらを沙希が召喚する!



「ちょ……なんて数の人形だよ! 茂みの中に、まだこんなにいやがったのか!」



 むぅ、そんな鬼火という灯りによって明らかにとなる暗闇の森の中――か、数え切れないほどの武器をたずさえた動く人形が雑草の茂みの中で蠢いている!



「やれやれ、同じアイドルオタクの戦友である宮城を捉えることになるとは……」



「う、痩せこけたノッポ男が巨木に縛りつけられた宮城の傍らにいるぞ!」



「ああ、あれは宮城クンのお仲間の演劇部の川上隆一だねぇ」



「む、その赤い眼鏡は……黒木夜子さんではないですかー! ウホッ! それにイイ女のコがたくさん……キキキキ、僕の人形コレクションに加えたい美少女がたっくさん!」



「「う、うええっ!」」



 巨木に縛りつけられた宮城の傍らには、同じ演劇部の部員であり、泥棒集団セラエノのメンバーでもある痩せこけたノッポの男こと川上隆一の姿が――う、今、気持ちの悪い言葉を吐いたぞ、コイツ!



「おっと、名乗るのを忘れていたよ。僕の名前は川上隆一――またの名を人形使(ドールマスター)いのリュウ!」



「人形使いだと!? そうか、人形(コイツ)はお前が操っているのか!」



「左様! どうだ、可愛いだろォォ~~!」



 雑草の茂みの中でワラワラと蠢く武器を持った人形たちを操っているのは、人形使(ドールマスター)いを自称する川上隆一のようだ。



「クククク、お前たちはアレを取り返しに来たんだろう?」



「アレとはアルテミスの弓矢のことか!」



「アルテミスの弓矢? へえ、あのお宝には、そんな名前なんだ……フ、まあいい! さて、俺はリーダーの安達さんから、別荘に部外者を近づかせるなって言われている。故に外敵を追い払うための守護者として、ここにいる!」



「守護者だと 私の大事な弓矢を盗んだ不届き者が気取るんじゃない!」



「フフフ、豪気だ、お嬢さんだ――と、僕は紳士だ。婦女子を痛めつける趣味はないんだ。早々に立ち去れば危害を加えないと約束しよう」



 む、川上は守護者を自称し、おまけに紳士を気取っている。むぅ、俺たちはナメられているなぁ……。



「だが、断る! お前らから大事な弓矢を取り返すまで、私は引き下がらないぞ!」



「そうね、右に同じくだわ。私たちはアンタたちを仕置きするつもりで、ここへやって来たんだしね」



「仕置きだと!? ハハハ、可愛いこと言うじゃないか、お嬢さん! じゃあ、その仕置きをやってみろよ、ゴルァァ~~!」



「うお、紳士的な態度が一変したぞ!」



「あああっ……イライラするなァァ~~! なにが仕置きだよ! 正義の味方でも自称してんのか、クソ女! 人形共、コイツらを八つ裂きにしてしまえっ!」



 あらら、川上に奴、早々に紳士的な態度を一変させて本性をムキ出しにしてきたぞ――う、同時に奴が操る武器を持った動く人形たちが一斉に行動を開始する! 



「ちょ、なんで俺を狙うんだよぉ!」



 ぬ、ぬああ! 何故か動く人形共は俺に狙いを定め一斉に襲いかかってくる……ふ、不公平だァァ~~!

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