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第八話 俺、とある女神の探し物に奔走します。その4

「き、消え去った!? れ、連中はどこに!」



「ん~、どこでノビてる奴以外は逃げちゃったわね」



「むぅ、とりあえず、コイツを尋問すりゃ、居場所がわかるはずだ」



「尋問なら、この私に任せてくれたまえ……キヒヒヒ♪」



(アイアン)処女(メイデン)、それに断頭台(ギロチン)……ちょ、拷問を通り越して、処刑する気か、ニャルゥゥ~~!」



 く、連中はどこに!? まあ、演劇部の五人組のひとりを手足を縄で縛って拘束した状態で確保しているワケだし、尋問と洒落込みますか――って、おい、ちょっと待て! なんで鉄の処女や断頭台といった物騒なモノを召喚しているだよ、ニャル!



「フフフ、冗談だよ、冗談~☆」



「絶対そうは思えないんだが……」



「んじゃ、こーゆーモノはどうだい?」



「うっわぁ、チェーンソー ま、まあ、脅しには使えるよな……」



「と、とりあえず、コイツを縛っておいたぜ! おい、起きろよ!」



 パチンとニャルラトホテプが指を鳴らすと同時に、鉄の処女や断頭台は虚空に消え失せる――が、その代わりとばかりにチェーンソーが、そんなニャルラトホテプの右手と一体化するかたちで出現する。



「う、うおおお、お前らは何者だァァ~~!」



 ひとり残された泥棒――演劇部の部員こと宮城憲正は、カッと両目を開くと同時に、まどろんだ意識が急激に覚醒する。



 そりゃ、視線の先にチェーンソーを振りあげ、狂気を表情に彩らせた美しき悪鬼羅刹――ニャルラトホテプが立っているワケだし……。



「大声を出すとは情けないな。お前は男なんだろう? グズグズするなよ、クククク」



「う、うぐうううっ……」



「よしよし、それでいい。さて、お前たちはセラエノのメンバーなんだろう?」



「う、何故、それを!?」



「フフフ、どうやらビンゴだったようだねぇ」



 おいおい、情けないとかグズグスするなっつーか、見た目はともかくチェーンソーを振りあげた某殺人鬼のようなモノが眼の前にいるワケだし、大声をあげて当然だと思うんだが――ん、セラエノ!?



「あ、知っているわ! 最近、巷で流行っている泥棒集団でしょう?」



「な、なに、泥棒集団だと!? むぅ、許せん輩がいるもんだなぁ……あああ、私の弓矢がまたなくなっている!」



「キ、キヒヒッ……弓矢? ああ、そこに置いてあった段ボール箱なら、すでに俺の仲間が別の場所に持ち去った後さ!」



「な、なにィィ! 気づかなかった……い、いつの間に!?」



 煌々と輝くナニかが入っていた段ボール箱が、いつの間にかなくなっている!? あの段ボール箱の中身は、盗難被害に遭ったアルテミスの大事な弓矢だったようだ――し、しかし、いつの間に!?



「俺たちのリーダーである安達泰子の泥棒テクニックは神業だぜ! 無音と近づき、無音で盗み、気配を完全に遮断することができる!」



「ムムム、なんという泥棒テクニック! まるで泥棒の神の加護を受けているかのようだ!」



「ちょ、僕は悪党に加護なんか与えないぞ! 僕を善神だ! そこにいる眼鏡邪神と一緒にしないでくれないかな!」



「ハハハ、眼鏡邪神とはひっどいなぁ~☆」



「そ、そういえば、泥棒の神様って呼ばれていたよなぁ、ヘルメスは――」



 宮城はケタケタと不気味な笑みを浮かべながら、演劇部の部長であると同時に、泥棒集団セラエノのリーダーである安達泰子のことを褒めたたえる。



 そういえば、俺たちと一緒にいる神出鬼没の妖精さんことヘルメスは、泥棒の神とも呼ばれる場合もある神でもあったな。



「フフフ、そろそろ、俺もこの場から立ち去らせてもらうぜ! 俺も魔術師だ! こんな縄で俺を拘束なんぞできん、ざまあみろォォ~~!」



 う、両手、そして両足を縄で拘束された状態の宮城が、ニヤ~と不気味な笑みを浮かべる――な、縄抜けでもするのか、手品師みたいに!?



「あ、あれ、縄が解けん!? ど、どういうことだァァ~~! ぎゃ、ぎゃああああ、痛い、痛いィィ~~!」



 ムムム、宮城は魔術師を自称しているし、手足を拘束する縄を解くなんて朝飯前なのかも――と、思ったが、無理な様子! う、なんだか苦しみ始めたぞ!?



「下手に暴れない方がいいぞ。それは暴れれば暴れるほど身体に食い込む代物なんだ」



「わあああ、黒豹! なんで動物園にいるような猛獣がいるんだ、ヒィィ!」



「わ、漏らしたぞ、コイツ!」



 宮城の手足を拘束する縄は暴れる度に絞めつけ具合が強まる魔法の縄って感じなのかな? さて、テュポンが真っ黒な巨体が宮城を押し倒す――と同時に、宮城の膀胱という名のダムが決壊する。



「気絶してしまったぞ、コイツ」



「やれやれ、私はナニもしていないのに……」



「ナニもっつうか押し倒しているじゃん」



「ま、気絶したのなら、また起こせばいい」



「ぐぎっ! おわああ、あああっ!」



 宮城の口からブクブクと大量の泡が――むぅ、コイツまた気絶してしまったぞ。だが、アルテミスが額に空手チョップを……あ、起きた!



「さて、改めて尋問を……」



「じ、訊問だと!? フン、絶対に喋るものかよ、このクソ共がァァ~~!」



「じゃあ、絶対に喋りたくなる場所へ案内するわ」



「うお、沙希!」



「ぎゃああああ、熊だ……熊が出たァァ~~! え、どこはどこだ!?」



「猛獣界よ、泥棒さん」



 ん、ホッキョクグマに変身した状態の沙希が、俺たちが今いる演劇部の部室の奥にある物置部屋の中に入ってくる――わ、いつの間には猛獣界に移動しているんだが!? 

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