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第八話 俺、とある女神の探し物に奔走します。その3

登場人物紹介


・アルテミス――大理石の女神像の宿った月の女神。盗まれた大事な弓矢の捜索を美樹原たちの依頼する。

「しかし、大事な弓矢を呆気なく盗まれたものね。ひょっとして日曜日の深夜ってことで油断して眠ってた? で、気づいたらなくなっていたって感じかしら?」



「ず、図星だったりして……ま、まあ、私の従者が写真を撮影していてくれたおかげで、こうして泥棒共の写真があるワケだ!」



 なるほど、眠ってて油断したワケね。まあ、神様であっても眠ることもあるよなぁ――とまあ、そんな眠っている時間にまんまと大事な弓矢を盗まれたようだ。



 さて、本日からさかのぼること三日ほど前、光桜学園の新校舎に強盗が押し入り、大騒ぎとなったようだ。


 ――が、幸いなことに日曜日の夜間だったおかげで新校舎内に誰もいなく被害者に遭った者はいなく、おまけに金品が盗られていなかったので大事件に発展せずに終わって良かったと思う。



 と、そんな強盗は某特撮ヒーローの仮面をかぶった五人組で、ソイツがナニが目的からさっぱりだが、新校舎の中庭に立つ守護神像こと熊に跨った女神像――月の女神アルテミスの分霊が宿った像に飾られた弓と矢を盗んでいったようだ。



「演劇部の部室は旧校舎の一階にあったはずよ!」



「アフロディーテ、詳しいんだなぁ」



「フン、ここには私の工房があるのよ。ニンフたちに任せっきりだけどね」



 愛梨の相棒であるしゃべるアヒルこと美の女神アフロディーテは、旧校舎内に勝手に香水だったかの工房をつくり、ネット限定の商売を始めている。売れ行きはそこそこ上々らしい。



「へえ、ここに初めて来るけど、〝夜の住人〟が多いみたいだなぁ……む、あのアライグマはヘパイストスか!?」



「ええ、彼の工房もあるわ」



 光桜学園の旧校舎には〝夜の住人〟と呼ばれる連中が多数、住み着いている。ちなみに、ソイツらは獣の姿をしたモノたちである。



「ここが演劇部の部室よ。あ、鍵が開いているわ!」



「むぅ、不用心だな。鍵くらいかけろよ、まったく……」



「ん、ちょっと、待って! 部室の奥に灯りが見えるわ。誰かいるっぽい!」



 俺たちは演劇部の部室の前にやって来る――ん、中から灯りが!? 今は午前零時だけど、誰か中にいるのか?



「よし、中には入ってみよう」



「……と、その前に穏行の術で姿を消しておくべきだな」



「穏行の術とは自分の姿を消すことができる魔術ってところかな?」



「ま、そんなところだな」



「ふむ、それなら私も使えるぞ!」



 演劇部の部室内に誰がいるのかは定かである。ま、とりあえず、穏行の術で姿を見えなくしておくのが無難だなぁ。



「灯りは物置の扉の隙間から漏れ出したもののようだ」



「まったく、こんな誰が……ん、声が聞こえるぞ」



 演劇部の部室内の奥には演義用の衣装などが保管してある物置部屋があり、先ほどの灯りは、そこから漏れ出したものである――と、ヒソヒソと小声で話し合う複数の人間の声が聞こえるんだが!? さ、聞き耳を立ててみよう。



「お、おい、安達! どうするんだよ、コレ! マジでヤベェぞ!」



「し、知らないわよ! でも、流石にヤバくなってきているわね!」



「知らないで済むか! 突然、光り出したんだし、ヤベェだろ、おい!」



「うーむ、ヤベェ代物だが捨てるワケにもいかないしなぁ……」



「まあ、そうだけど、このまま隠しておいちゃ流石に不味いんじゃね? ヤベェくらい熱いぞ、コレ!」



 チビ、ノッポ、デブ、マッチョ、そして紅一点とばかりに小柄な女のコの五人組が、演劇部の部室の奥にある物置部屋の中に見受けられる。



「まさか、アイツらじゃないのか?」



「うん、丁度、五人いるしな」



 まさかとは思うけど、アルテミスの大事な弓矢を盗んだ某特撮ヒーローの仮面をかぶった泥棒五人組では!? 



 なんだかんだと、丁度、五人いる……怪しいぞ、コイツら! ん、連中が中から煌々と光を放つナニかが入った段ボール箱の前に集まってヤバいヤバいと連呼しているんだが!?



「あれは演劇部の部員たちだよ。ちなみに、紅一点の安達泰子が三年生で部長だったはずさ」



「ニャル、詳しいじゃないか」



「フフフ、私は一応、生徒会の副会長という肩書を持つ黒木夜子という生徒として、この学校内に潜り込んだいるんだ。知っていて当然だろう?」



「そ、そういえば、そんな肩書の生徒に扮していたな」



「他の部員だけど、チビが宮城憲正、ノッポが川上隆一、デブが阿部力也、マッチョが須藤博之だったかな?」



「そんなことはどうでもいい! アイツらがヤバいヤバいって騒いでいる代物から、私の大事な弓矢のニオイがするぞ!」



「アルテミス、今は様子を窺うべきでは……ああ、遅かったか!」



 むぅ、アルテミスが物置の中に乗り込んでしまう! ああ、もう気が早いんだから!



「わ、わあああ、なんだ、お前は……ぐえっ!」



「お前ら、そのダンボール箱の中に入っているモノを返してもらうぞ!」



「な、なんだ、アンタたち! ちっ……ここは一旦、引くわよ!」



「わ、消えた! な、なんだ、アイツらは魔術師か!?」



 乗り込んで即、鉄拳を振るうアルテミスのそんな鉄拳が顔面にクリーンヒットし、ガクンと気絶したチビ――宮城憲正以外の演劇部の部員四人の姿が、フッと忽然、虚空に消え去る! まさか、紅一点で部長の安達泰子を筆頭とした演劇部の部員五人組は魔術師なのか!?

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