夕飯は散々だ。
皆様ごきげんよう。
リコリスです。
やらかしてしまいました。
もうお嫁には行けません。
あ、もう嫁にはなってるんだった。
こうなったらのは、そもそもイケメン近衛騎士団長のせいです。
イケメン美形は滅びろとか言いそうになりますが、なまじ知り合いや身内にイケメンや美形が多いので言えません。
次に会ったら、顔面パンチと鼻フックをおみまいしてやります。
「あはははははははは!!!」
腹を抱え、大爆笑するノンノン。
「ノンノン!笑うなんてひどい!」
顔が熱い。多分私は真っ赤になっているだろう。
ノンノンは玲瓏な顔を崩して、笑っている。
むしゃくしゃしたので青銀に輝く綺麗な髪を引っ張ってやった。
「いっ…!!痛いぞリコ。やめてくれ。」
「やめません。私の心の痛みを思い知ってください。」
ギリギリと更に引っ張ってやる。
「抜けるっ!俺の髪が抜けてしまう!!」
「抜ければいいわ!むしろはげろ!!
若ハゲてしまえ!」
なんでこんなことになったかというと、鳴ったんですよ。私のお腹が。
盛大に…部屋中に響きわたるほどに…
よりにもよって国王陛下にも聞かれるし、ノンノンは笑い転げるし、兵士や魔術師さん達も笑いこらえてプルプルしてるし、最悪です。
更に髪を引っ張っている手に力を込めようとすると、国王ストップが入る。
しぶしぶ手を離すと、ノンノンは涙目になりつつ「ごめんな」と謝ったので許すことにしました。
「夕飯時にすまなかったな。
詫びは後日入れよう。しばし、我が国で療養するといい。」
国王陛下に声をかけられ、慌てて礼をとる。
小さく、くうぅぅ…と腹の虫が再びなり私は更に真っ赤になった。
空気よんで私のお腹!!
「面白い、実に面白いな。
あれほどの祝福持ちにしては、普通の娘と思ったが…
さすがお前たちの娘だなぁ。」
朗らかに笑って、国王陛下と兵士や魔術師さん達は消えた。
転移の術か。
「俺も今日の所は帰るな。
ミチルも会いたがってたから、ぜひ家に遊びに来てくれ。」
「チルチルに会いたいです!
この前は体調悪いからって会えなかったし。具合はもういいんですか?」
私がたずねると、ノンノンは笑って頷いた。
チルチルは私の世話係みたいなことをしてくれていた人で、ノンノンの嫁にいってしまっていたのだ。
明日は父様も母様も用事があるから私だけでも先に会いに行って欲しいと両親に言われ、明日の予定が決まった。
いそいそと帰っていくノンノンを見送り、私たちは夕食をいただいた。
お腹が鳴ったのをナイスタイミングだと誉められ、私は微妙な気分になった。
忘れて欲しいんですが。本当に。
お腹ってシーンとした場でなると恥ずかしいよね。