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隣国での出会いと再会。

遅くなりました。

隣国の首都に着いて唖然とした私だけれど、案内された宿でとんでもない人と出会う事となった。



「よくぞ来てくれた!我が友よ!!」

青銀の髪に黒のローブをまとった人が父様を抱きしめる。

すかさず、素敵な笑みを浮かべ母様がその手を引きはなそうと捻りあげた。


「相変わらず、暴力的だな君は。

元気そうでなによりだ、暴力的だが。」

「お久しぶりね、相変わらず顔だけはお綺麗ね。

残念な性格も相変わらずだけど、顔が綺麗でよかったわね。」


ふふふ、はははと笑い合うがお互いに目は笑ってない。


「ゼノン、久しぶりです。

そして転移の法を使ってくれてありがとう。」


父様の言葉に驚く。


ゼノン…真紅の月とも呼ばれ恐れられる、世界に名を轟かす魔術師だ。

かつて、大陸全土を巻き込む大戦の中で何千何万という兵を相手に戦い、大地をその身をかえり血で赤く染め上げたという逸話を持つ。

国土は小さいながら、軍事強国として有名な隣国の魔術師のトップといえる。


「ノンノン偉い人だったんだ、知らなかった。

あ、久しぶりです。」


黒服でいつもと雰囲気が違ったから一瞬分からなかったが、馴染みの人だった。

小さい頃からよく家に来ては兄と私と遊んでくれたり、どこかに連れて行ってくれた人がまさか隣国のお偉いさんだとは分からなかった。

小さい頃はお姉さんだと思っていて、一緒にお風呂入るまで分からなかったんだっけ。

お兄さんだと分かったからといって、なにか変わる訳じゃなかったのだけど。

長い付き合いだけども、ゼノン=ノンノンとは知らなかった。



「リコ、半年ぶりだな。

怪我の具合はどうだ?」


頭を撫でながら、ノンノンが問う。


「痛みはないですよ。」


努めて明るく言う。

だけど、ノンノンは苦い顔をして悔しげに言った。


「俺でも背中の傷は治せない。

本当にすまない…

ユーリ、カトレアにもすまないことをした。」


「貴方の責任じゃないわよ。」

「あなたがたの祝福があったお陰で、この子は後遺症もなくすごせるんですから。」


父様と母様は笑って言った。

その通りだと私も思う事を伝えると、ノンノンは少し笑って頷いた。


「祝福も時に災いとなるが…

そうだな、お前たち家族なら大丈夫だな。


さて、会わせたい方がいるので来てほしい。」


表情を引き締めたノンノンの後を着いていきながら、お腹すいたなぁと私はのんきに考えていた。







「やぁ、ようこそ我が国へ。

こちらに仕官する気になってくれたかね?ユーリス。」


なんか豪華な部屋に入ったら、ずらりと並ぶ兵士に魔術師。

その中心に立つ男が父様に微笑みかける。

髭ダンディなその人は、特別美しかったり格好良いわけではないが強烈な存在感が漂う。



「お断りしますわ、国王陛下。

ユーリは私のなので。仕事を辞めるなら、私のサポートしてもらいます。」


母様が美しすぎる笑みを浮かべ、父様の腕にもたれ掛かる。


「お久しぶりです、国王陛下。」


にこやかに和やかに父様は笑って挨拶する。

仕官の話を華麗にスルーしていく。

父様のスルースキルは半端ない。なんたって母様の夫をやっている位だ。

万年新婚さんかよっていう母様にいちいちどぎまぎしたり、付き合ってたら身が持たないそうだ。


というか、国王陛下を前にしてまったく動じない父様にもびっくりです。


それにしても、お腹すいたなぁ。


はたして私は夕飯をお腹がなる前に食べられるのでしょうか。

この状況でお腹が鳴るのは、年頃の娘として恥ずかしすぎるんですが…

腹筋に力を込めながら、とにかく速く終われと念を送るのだった。





はやくご飯~!!!!!



人数多くなってきたので、名前を出しました。


主人公はリコリス。

彼岸花から取りました。不吉な花と言われがちですが、色々種類もありまして綺麗な花です。

花言葉は『再会』『誓い』『思うはあなた一人』。

悲しい意味もありますが、こちらの意味合いの方を込めた名前です。

たとえ離れても、また再び大事な人と再会できますようにという願いを込めてつけられた設定。

リコリス・スプレンゲリという品種はとても素敵です!



再会はノンノンとのでした。

近衛騎士団長とはまだまだ絡まない…orz


お腹すいたなぁ しか言ってない感じのするリコですが、そのうち近衛騎士団長と恋愛する(予定)かなと思います。



ノンノンことゼノンは物凄い美形さんです。

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