おじいちゃん、ハッスルする。
近衛騎士団長を
出そうと思ったのに出ない罠。
レグルスの弾き語りは五曲ほ続いた。
メイズはノリノリだ。
ルーヴィルはぐったりとしている。
「レグちゃん、おいちゃんは感動したわぁ~
ご褒美にこれあげるね。」
なにやら紙に包まれたモノをレグルスにメイズは渡す。
「うっわぁい!なにかななにかなぁ~金貨かなぁ、銀貨かなぁ、銅貨でもいいぜって!
飴だこれ~!!!!!!」
レグルスは物静かな凛とした騎士に見えるが、口を開けば色々残念な仕様だった。
ある意味近衛騎士団長と似たような感じだが、系統は違う。
レグルスはチャラかった。
まぁ、陽気なチャラさ加減なのだが。
それはルーヴィルの祖父のメイズにもいえたが。
「ルルーの飴じゃん!俺大好き!メイじいちゃんわかってんじゃん!」
イエーイとハイタッチをするジジイと幼馴染みに頭痛を感じながらルーヴィルは黙っていた。
この二人に何を言っても無駄だと長年の経験で知っている。知っていても時々怒ってしまうのは人間として仕方がないとルーヴィルは思うのだった。
ちなみに、ルルーとはゲオルグで有名な並んでも手に入らない事もあるほど色々美味しいお菓子屋である。
しかし…長い。
アゲート王国の結論がすぐに出なくても何かしらの反応やら対応があっても良いのではないか。
最初に侍女が茶をいれ菓子を出してくれたが、いつまでかかるか分からない話し合い終了までいてもらうのも気詰まりだからと下がってもらった。
ゼノンのはっちゃけのせいである。
貴族然としたルーヴィルはともかく、見た目だけなら一流の強そうな騎士と無表情の魔術師に怯えた侍女は可哀想なくらい震えていた。
それでも茶を出す手や菓子を勧める声は震えてはいなかったのはさすがであったが壁に控えているときは駄目だった。
ぶるぶるしているのである。
レグルスが「ワッ!!」と脅かしたくてウズウズしているのを察したルーヴィルは、
話し合いが終わるまでは接待はいらないと侍女長に言うよう言い含めて逃がしてやることに成功したのだ。
その後、誰一人来ない。
いくらなんでも不味いんじゃなかろうか。
レグルスのつまんないじゃんという視線を無視し本を読みをしはじめたルーヴィルだったが、さすがに飽きはじめた所に先程の騒ぎだ。疲れた。
「お祖父様、私にも飴を下さい。」
疲れたときには甘いものに限ると珍しくルーヴィルからねだると、メイズはキラッキラの笑顔で両手いっぱいの飴をくれた。
こぼれ落ちたものはちゃっかりレグルスが拾ってバリバリ食べている。
「ルー坊、おじいちゃんがあーんてしてあげようか。うん、そうしよう。
ルー坊あーん!」
「二十歳過ぎた孫にそんなことしようと思わないで下さい。」
甲斐甲斐しいを通り越して気持ち悪い祖父の申し出をスッパリはねのけルーヴィルは飴を舐める。
「ルー、お前からねだるなんて珍しいのなぁ。よっぽど飴好きなんだな!」
「いや、別に。
まぁ甘いものは好きだけど飴一番じゃないし。お腹がすいてきたから気をまぎらわそうと思って…」
言ってからハッとなる。
祖父と幼馴染みが笑顔で殺気を出していた。
「ルー坊が腹をすかす…だと?」
「そんな時間たつほど放置か…」
ゆらりと二人同時に立ち上がる。
そして右手をメイズが、左手をレグルスががっしりと掴む。
失言をしたルーヴィルは焦った。
『飯ぐらいださんかぁ、ゴラァ!!!!!』
言うやいなや、二人はドアを蹴り開け厨房に走る。
もちろんルーヴィルを引きずって。
「やめてくださいよおぉぉぉ…!!!」
今では細っこい、小柄なだけのまぁまぁ顔立ちの整った童顔な成人男性なルーヴィルだが昔は食の細い病弱少年だった。
しかし彼の兄弟姉妹や親族はゴリマッチョやムキムキマッチョ、細マッチョ、筋肉質ばかりで…
メイズでさえローブを脱げばけっこうなマッチョだったりする。
例外は祖母と父くらい。
そんな二人は溺愛されており、未だに新婚夫婦みたいだったりする。
そんな二人に似て、かつ病弱とくれば溺愛&心配されまくりな訳で…
普通の子どもと比べても食べない、無理して食べたら吐くか調子を崩すかの二拓しかない。
そんな子なので、量が取れないならば回数を増やせと無理の無い程度で1日5食だったので空腹を感じるというのを12になるまで知らなかったルーヴィル。
そんな過程を知ってる二人にとって、彼の『お腹がすいてきたから』発言は晴天の霹靂に近かった。
「いい加減大人だから大丈夫ですからあぁぁぁぁ…!!!!!!」
ルーヴィルの必死の呼び掛けだけが虚しくこだまするのであった。
ルーヴィル君は姉・兄・妹・妹・弟の六人兄弟。
みんなムキムキ★
身長にょきにょき★
弟まだ13歳だけどナデナテされちゃう、兄ルーヴィル。
もちろん妹にもナデナテされちゃう、兄ルーヴィル。
みんな騎士や魔術師など戦闘系の職務についてる。
妹弟も就職予定。
戦闘の才能には恵まれませんでしたが、かなりの努力で文官になったルーヴィル。
ちなみにレグルスははじめて会ったとき女の子かと思っていて、後に知ったルーヴィルの代わりにルーヴィル兄に殴られました。
殴ったら怪我しちゃうからね。過保護。




