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城は真っ白、純白です。

城のイメージは某夢の国のシ○デレラ城です。

ゲオルグ城の前に馬車から降り立つ。

見上げれば見事な白亜の城。夜間にもかかわらず魔法の明かりでライトアップされていて、とても美しい。

アゲート王国の宮殿はきらびやかで美しいけど、こちらは飾り気のない美しさにというか自然美に近いのかもしれない。

おとぎ話の白亜の城とよくいわれると聞いたことがある。


「リコリス、口を閉じなさい。」

「リコリス、少しは取り繕って。」


まさかの夫婦ダブルツッコミにはっ、となりました。

珍しいものとか綺麗なもの見ると口ポカンしてしまうのは私の直さなければいけない癖のひとつ…

令嬢らしさを取り繕ったところに「よぉ」と軽く手をあげたノンノンが城からやって来ました。


衛兵さんがざっと頭を下げる。

ノンノンの長い髪は後ろに撫で付けられ紐でくくられていて黒を基調とした服は貴族や夜会用の服とはまた違った。

とてもかっこよかったが、ノンノンのくせに…と思ってしまう。

私のなかで、ノンノンはシャツにズボンにブーツというラフかつ作業着一歩手前の格好が基本装備だった。


「くっ、ノンノンなのにかっこいいなんて。」


「はっはっはっ、自慢だが俺は女装以外ならばたいてい似合うからな!」


「女装も似合いますよ。多分。間違いなく。」


私とノンノンのやり取りにさらりと父様も入ってくる。


「ノンノン、女神様みたいに見えるでしょうね!」


嬉しくなって私が言うと、ノンノンはものすごくげんなりした顔をして言った。


「あといくつかしたら40になるんだぞ、俺は。

一児の父にもなるっていうのにやってられるか…」


「うちの兄様は3児の父だけど、去年のガーデンパーティでどっきり女装を披露して拍手喝采、本人もノリノリだったけど?」


母様にがっつり似た兄様はそれはそれは美女だった。

ルアなみがそれ以上なほど。


「あいつを基準にするな…

たく、もう行くぞ。お前は俺がエスコートすることになってるんだ。」



ため息つきながら、それでもしっかりエスコートするノンノン。

そんな姿も絵になるとは、腹立つくらいの美しさだ。



「さっきから気になっていたのだけれど、衛兵さん達なんで黒い制服なの?」


夜会の会場に向かう途中、衛兵さんだけでなく使用人の人たちも基本黒で襟や袖、刺繍が赤だったり黄色だったりしていた。

普通、白や赤、青などが一般的といえる。


「色々理由はあるが、一番の理由は城が襲われて戦闘になったとしても怪我をしても目立たなくて済むし、弱点として狙われたり侮られたりしないように、な。」




おとぎの城と歌われる城に住むのは、おかしな戦闘狂どものようです。

戦闘国家って怖いなぁ…

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