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近衛騎士団長の失敗。

一話の騎士団長サイドの話。

「お前、馬鹿だろう。」


父と兄が頭を抱えて言った。

顔色がそろって真っ青だ。


「お前なんで自分だけ式典用の近衛服なんだ。」


兄が顔を上げる。その顔はなぜか青筋が浮かび、怒っているようだ。


自分と同じく鉄面皮とも言われる人が珍しい。


「今朝、朝食を派手にこぼしてしまいまして。

あいにく普段着やら訓練着は纏めて洗濯に出してしまったんです。」


昨日の婚約発表の為と一昨日までの天候不良で洗濯がおいつかなかったらしい。


「ならせめて、それ相応のドレスを彼女に贈って着せるべきだった!

考えてもみろ!誓いの儀式だぞ!?

お前が王子に剣を捧げ近衛になった儀式に部屋着で参加する人間はいたか?

正直いって彼女の服は部屋着というか寝まきに近かった。そんな状態で、結婚の儀式される女の気持ちを考えてみろ!

年頃の娘は特に結婚に憧れを持っているというのに!!」


ガクガクと肩を揺すられ、彼女の服まで気が回らなかった自分に気付いた。

これで結婚出来る!と舞い上がっていて、そんなことすら気づけなかった。

父と兄のように今更ながら青ざめた。



「父上と私の執務室までわざわざ彼女の父親が来て、『おたくのご子息が娘と誓いの儀式をしているようなんですがご存知ですか?』と言われた時の衝撃が分かるか?!

おまけに物置みたいな小部屋で、雰囲気もへったくれもない状態だと?!

よくも刺されなかったもんだな!

しかも相手の好意もない状態で!!」


「兄上、彼女の好意がない状態とは…」


なぜ一瞬会った位で分かったのだろうか。


「彼女の父親が経過説明を冷静かつ簡潔に話してくれたから、だ!!」


冷静沈着を絵にかいたような眼鏡の兄が頭をかきむしり叫ぶように言う。

端正な顔が台無しだ。

ここまで怒らせたのは、幼い頃幼虫を兄に向かって投げつけた時以来だ。


「彼女の父親は男爵で、我が伯爵家からすれば身分は下といえる。

だが、だからといって蔑ろにしていいものではない。それは貴族でなくても、だ。

お前にその気が無くても、しでかした事は最悪といえる。

頭を下げて許しをこうしかない。

なにより、あの外務大臣の親友に害を為したともいえる行為…。

だだでさえ娘が殿下に嫁ぐことになり傘下の貴族を増やしているというのに、敵対したら厄介極まりない。」


落ち着いた顔に戻った父は、彼女への非礼よりその親友の父親からの影響を気にしているようだ。

宰相としては当然か。


「急ぎ謝罪に出向くぞ。」











だがしかし、謝罪には出向けなかった。

行こうとした矢先、主のロイヤルウェディングへむけての第一回の打ち合わせの呼び出しが入ったためだ。


大司教が来ているようだ。

まだ若いながら絶大な支持と信仰を受ける人で、教会内部の腐敗撲滅を果たし、救済活動も盛んに行う人格者と評判らしい。



「お待たせして申し訳ない。

大司教殿、ご足労感謝致します。」


王族の応接室に入るなり父と兄と共に大司教に頭を下げて、顔を上げ、三人で固まった。


先程、彼女との誓いの儀式を執り行ったはずの司祭がそこにいた。



「さきほどはどうも。

まさか友の娘さんの儀式をあのような形で行うことになろうとは思いもよりませんでした。」


麗しく微笑んで、司祭ではなかった男が言う。

大司教に、非礼ともいえるような誓いを執り行わせた事実に真っ白になる。



訳を聞いた彼女の親友に、見事な回し蹴りを食らうまで動けないほど衝撃的だった。


波乱の打ち合わせはぐだぐだで終わり、

彼女の父親の仕事場に行けば、体調がすぐれず早退したとのこと。

体調が優れないのであれば、今から追いかけるのは良くないということになり明日にでも訪問して謝罪するということで話がまとまった。


父と兄も付き添ってくれる事になり、多忙を極める二人には申し訳ない事となった。


頭を下げると、


「お前一人だと取り返しがつかないどころか、悪化しかしないからだ。

取り返せるかも怪しい…」


兄が疲れた顔で言って去って行った。






だがしかし、

謝罪は結局できずに彼女達は国外に出てしまい、針のむしろってこんなか…という目にしばらくあうことになろうとは思いもよらなかった。



華麗なる一族の近衛騎士団長ですが、近衛には実力で這い上がりました。

思い込んだら一途なのが、長所であり短所。

残念な美形ですが、慕われたり尊敬はされています。

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