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素敵な休日の過ごし方。

復活しました。

「カトレア様!ユーリス様!

お久しぶりでございます!!」


ガッと斜め45°の角度で礼をした筋肉隆々のいかつい男は、強面の顔で微笑んだ。

微笑んでいるが恐い。

通りすがりの女性が思わず小さな悲鳴をあげるほどには。


「久し振り、アルザス。

相変わらずの盛況っぷりね。」


「混み合っていたので後でよろうと思ってたんですよ。

元気そうでなによりです。」


仲良く腕をくみ歩いていたユーリス、カトレア夫婦は男に動じることもなく、笑顔で言葉をかわす。


「下は一杯ですが、上は空いておりますので水くさいこと言わず寄っていってくださいよ!」


返事をする前に、可愛い外観のレストランから強面の男どもがわらわら出てきて、さあさあ!と中に追いたてるようにして入れられてしまった。


ゲオルクで美味しいと有名なレストラン『マリアンヌ』には名物が2つある。

ひとつは愛らしい外観と内装、そしてそれに見合う可愛い給仕の娘たち。

もうひとつは厳つい野郎共が作り出すとは思えない程美味しい繊細な料理の数々である。




「まさか予約無しでマリアンヌの個室で食事ができるなんてねぇ。」


酒の入ったグラスを傾けながら、カトレアがため息をつく。

その姿はさながら一枚の絵のようで美しいことこの上ない。


「運がいいですね。

カトレアの日頃の行いですね。」


陽向のような微笑みをうかべる夫にカトレアは胡散臭そうな視線をよこす。

娘のリコリスあたりなら納得しそうだが、長年夫婦をやってる身としては裏があるとしか思えない。


トントン拍子にゲオルクの首都に直行できた所からして出来すぎている。

そもそも、すんなり国を発てたことからしておかしい。

愛娘のリコリスが最低の結婚の儀式をさせられた相手は国内でも力があり、尚且つ国一の剣の使い手な貴族。

いきなりスパッと城から出て帰って来れたこと事態異様だ。


「ユーリ、私は貴方の事愛しているし、大抵の事は許すし、束縛しないようにしているつもりよ。

何企んでるの?

私も混ぜてくれなきゃ拗ねるわ。」


「企んでなんかないですよ。

あえていうならみんなの幸福のために一騒動起こしてみようかなーという軽い気持ちと家族旅行、婿殿(笑)に軽い嫌がらせを混ぜるとこうなった、ですね。」


カトレアの手に自分の手を重ねながら、ユーリスは朗らかに笑って言う。


「大事なものが増えるのは嬉しいですが、煩わしいモノも増えるのは嫌なんですよ。」


カトレアは知っている。

笑顔がポーカーフェイスになっている夫が、けっこう腹黒い事を。

こうと決めたら譲らない事を。

そして、家族や家族同然と思った相手の為ならば、国をも動かしたり敵対する事さえいとわない事を。


「まぁ、いいわ。

旅は始まったばかりだもの。

のんびり聞き出して、私も楽しくやるわ!」


「自分でもまだ計画が十分練れてないから、説明しづらくてね…

大丈夫、愛する妻を仲間はずれになんてしないよ。」



心から楽しそうに、ユーリスは微笑んだ。


今週中に次話アップしたいです。

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