動き出す前に。
見てくださっている方に感謝を。
「ルーヴィル、眠い。何処かで寝かせてくれ。
駄目なら帰る。」
「ゼノン殿、いきなりなんですか。
我儘言わないで下さい。」
「いえ、ルーヴィル殿休ませて差し上げてほしい。
なんてこと無いようにしてるけれど、普通なら命もなかったかもしれない術をやり遂げたのです。
さすがのゼノン殿でも疲労は大きい。」
「魔術師副長が言うなら、仕方ありません。
ちょっと交渉しておきます。」
「ルーヴィル、メイズの話は聞くのか。おいこら喧嘩売ってんのか。」
「ゼノン殿、日頃の行いですよ。」
まだ呆然としている自分の頭上でゼノン達が会話する。
模擬戦闘訓練で命かけるとか、戦闘国家はちょっと頭おかしい気がする。
そして、副長にぞんざいに扱われる感じは親近感を感じる。
「一室用意させます。
エド、案内を。」
後から主の声がふってくる。
脊髄反射のように直ぐ様立ち、一礼し「ご案内致します。」と言って歩き出す。
「お前も少し休め。」
すれ違い様に主に声をかけられ、僅かに頭を下げ答える。
ゼノンがついてくるのを確認しながら、歩く。
次第に喧騒から遠ざかり、二人の足音と小鳥のさえずりしか聞こえない。
「お前、結婚したって?
よりにもよってリコと。ユーリ怒ってたぞ。」
不意に声をかけられ、思わず振り返る。
「な…」
「お前は…、馬鹿だな。
ちゃんと手に入れたいなら頭を使って、頭を下げろ。
だから逃げられるんだよ。」
ニヤリと笑ってゼノンが言った。
なんで知ってるんだ。
とりあえずここまで。
続きは少しかかります。




