どことなく似てくる。
短めです。
ミーシャちゃんが不安そうに空を見上げた。
影も形もなくなったチルチルが空のスクリーンに映り、『正座―――!!!』と声をあげた瞬間、
しばらくお待ちくださいの文字と共にゲオルグ名物の料理やら観光地の映像が流れている。
これ見ていると、そうだゲオルグ行こう!って気になる。
チルチルのお怒りモードは久々に見た。
怒りすぎって体によくないのでは無いのだろうか。
血は繋がって無いけど、その怒り方は養母のメイド長にそっくりだ。
さすが親子!
正座…
私もメイド長にお叱りを受けたとき、したな。
兄様も時々、ノンノンは会うたび10回中7回の割合で怒られてた。
不思議なのはチルチルは一時間位平気で正座できてたのに、私達は10分もしないうちに、ウワアアアアアアアア足がアアアアァァァァァってなっては転げ回った。戻りたくはないけど懐かしさは感じるわ。
ちなみ…ノンノンは転げ回ったあげく背中踏みつけられてた。
前はノンノン可哀想かもって思ったりもしたけど、色々知った後ではまぁ納得だよね、うん。
『繋ぐぞ。準備しとけ。』
不意にノンノンの声がする。
「リコさん!
手を貸してくださいっ!」
ミーシャちゃんに両手を取られた瞬間、
私達の腕の中にチルチルが現れた。
よろけそうになるチルチルを二人で支える。
転移の術をこんなに間近で見るのは初めてかもしれない。
ノンノンに転移の術で色々連れられて遊びに行くときは、必ずチルチルが媒介になってくれた。
私は一切の魔術を受け付けないけれど、何かしら媒介があれば…例えば馬車ごとだったりチルチルに抱っこされた状態だったりすれば移動は可能なのだそうな。
間近でかけてもらったことはあるが、逆に見たことはなかったので、何だか新鮮な気がする。
「疲れたわ―」
チルチルがため息ついていると、ものすごい早さで馬車がやって来て私達の前で急停止。
「奥様っ!
無茶も大概になさってくださいっ!」
扉がバンッとあいてノンノンの屋敷の執事さんが血相をかえて飛び出してきた。
「もー、ゼノンが悪いのに私が怒られるのは納得できないわ…」
四の五の言わず乗ってくださいと執事さんに追い立てられるようにして乗り込んだチルチルに着いていきながら思った。
多分、執事さんが言いたいのは蟹歩きで屋敷を抜け出すことだと思う。おおよそ。
ノンノンも大概だけど、チルチルもどうかと思うよ…?
三人一緒に執事さんのお説教を聞きながら、そう思った。
妊婦さんによってはたくさん動いてお産が軽かったり、逆に動いちゃいけない、と入院される方もおります。
チルチルはアクティブに動いてますか、あくまでフィクション。
お医者さんに相談だ!無茶はしてはいけません。




