凍て付く白への
*
凍える寒さがこの朝を彩っていた。
白くくもっと窓ガラスに少女が指を滑らせれば、水滴をまといながら線が残る。
つ、とゆっくりと雫はたれながら窓のさんへとたまった。
少女は病的に細い腕を持ち上げて、ガラスを拭いて外を眺める。
道路上では人々がせわしく動き、通勤通学の時間帯を物語る。
寒空のして、厚手のコートを纏って動きまわる彼らを見て無理やり唇の両端を吊り上げる
少しの間飽きた様子もなく見ていたが、やがて彼女は身をひるがえすとベッドのふちに腰掛ける。 冷ややかな目が捉えるのは机の上に重ねられた茶封筒。
彼女が在学する公立中学の名前が入った、宛名も書かれていない分厚い封筒。
忌々しげに唇をかみしめるとそのままベッドに寝そべって、顔をつるされている制服のほうへと向ける。
クリーニングに出したきりなのか、ビニールがかぶせられたままでその上にはほこりが積もっていた。 今度は自嘲気味に表情を崩すと、宙に手を伸ばす。
そして。
ゆっくりと、目を伏せた。
/三題噺 より ・コート ・提出物 ・窓ガラス *白