明けましておめでとう
「あけおめ!!」
午前三時、スマホの向こうから、そのような声が聞こえた。
「――ぅるせぇ」
新年が明けるのを友と通話しながら、待っていて、除夜の鐘が鳴るのを聞くとすぐにベットに、身を投げ就寝した。
それから、まだ三時間も経っていない。
全く、ふざけるな!!
こいつは毎年、毎年、十二時を回り、新年になった瞬間、『あけおめ』を送ってきていたが、今年はなかった。
多分、寝ていたのだろうと自己解決していた。
「今更、何のようだよ……」
「いや、寝過ごしちゃたんだから、仕方ないでしょ」
悪気をまるで感じさせない返答に、怒りも湧かないし、呆れても通り過ぎて、慣れたのは随分も前の話だ。
「別に文句ないでしょ、今日は、私たちも会うだけで、他に予定ないの知ってるんだから」
「だからだろ!!今日、会うんだぞ、それなのに、電話してきやがって」
スピーカーモードとなったスマホから、距離をとり、あぐらをかいていた俺は、不満をぶちまけていた。
「良いでしょ、久しぶりに私の声聞けて、嬉しいでしょ」
「……で、何のようだよ?」
俺はその質問に対しては答えは、避けた。
俺には、まだ何も言う勇気というものはない。
「本題はね、一緒に初日の出、見ようよ」
「は?今から会うのか!?」
「いやいや、流石にそんなことはしないよ、六時になったら、連絡するからね」
そうスマホ先から、声が放たれたらと思ったら、すでに電話は切れていた。
クソが!!
と、ただの友達なら、ブチ切れていただろう。
だが、相手は可愛い女の子。
好きとまでは、いかないが……この気持ちはなんと言えば良いのか分からない。
そんな感じの相手だ。
『ピピピピッ』
良い睡眠を取れた頃に、その睡眠を妨げるように激しい着信音がなっていた。
溜め息を吐きながら、スマホを持ち上げると、
「もう朝ですよ!!起きてください!!」
そんな大きな声が、寝ぼけている頭の中へと響く。
「もう、そんな時間か……」
「早く、早く、もう日が昇っちゃうよ」
可愛い声に急かされ、俺は、カーテンの方へと向かっていった。
今は、スピーカーモードではなく、スマホを耳に当てたままであった。
「もう、もっと早起きしてよね」
ジャラジャラと音を立て、開くカーテンから、手を離した。
あれ?パッと見でなかったサンダルのことを考えることをやめ、俺は素足のままベランダへと出た。
「どう?どう?」
電話の先からは、ワクワクした声の彼女がはしゃいでいることが、分かって、俺は少し、微笑んでいた。
「……きれい」
山と山の間から、姿を見せている太陽に俺は、案外見惚れていたのだった。
「でしよ!!」




