表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

36/38

第18話 死の水と憤怒の炎 〜ミシュリー vs. ナラハラ〜

「くらえ!ウォーターBOØWYズ!!」

「……アダーマズ・アダーム」


 ビーフシチュー城へ続く大通り。

 ナラハラとミシュリーの戦いは、杖を用いた魔法合戦で始まっていた。

 

 三賢者のひとり――ゴージャス☆ナラハラは、こんな荒野でも、無から大量の水を生成でき、それを弾丸のように圧縮して放ってくる。

 対するミシュリーは、多様な魔法でこれを防御。「アダーマズ・アダーム」は土魔法であり、俺――能都コトブキが、ビニグナントグリズリーに襲われた際にも使っていた呪文だ。


「わぁー!すっっげえーー!!僕、一度でいいから、果ての魔女さんと戦ってみたかったんですよー。いろんな魔法使えるの、超カッチョイーって感じ!?」


 ミシュリーは言葉なく、ナラハラに杖を向けている。

(まだ底を見せないか……。早いとこケリをつけたいのだけれど――コトブキちゃんを巻き込むわけにはいかないしね)

 

 ミシュリーは俺とングディンが戦っているはずの方向をチラッと見たが、俺たちは既にそこにはいなかった。


 喋らないミシュリーに対し、ナラハラは海賊帽を押さえながら、遠慮なくお喋りし続ける。

 

「しかし果ての魔女様とはいえ、ちょっと僕のことをナメすぎですよねー。今度から『ナメプの魔女』って呼んでもいいですか?なんて言うんですか?緊張感?ちょっとばかし足りてないんじゃないっすかねー」

 

 そして彼はまた魔法を放つ。

「三賢者を前にして、得意魔法以外で防げると思うなっつーのっ!!」

 

 ナラハラの洗練された杖捌きで、杖の先端に青色の魔粒子が集まる。

 

「ハイドロ波乗りカノン!!レボ、リューション☆」


 ナラハラらしい、大袈裟な呪文だ。

 彼の正面に、4メートルはある巨大な波が発生。同時にその左右でも水が横向きに渦を巻き、それぞれの渦がミシュリーに向かって、ものすごい速さで高圧水流を発射した。


 ザブンッ!!ビッシュウウウウウウウウウ!!!

  

 ミシュリーは咄嗟に丸太を呼んで空へと逃げる。どうやら、もう正常に飛べるようになったようだ。

 だが「ハイドロ波乗りカノン レボ、リューション☆」の水はミシュリーを追尾して、空に向かってぐいんと曲がった。

「ちっ……追尾型……」

 

 ナラハラも、柱みたいに太い柄のついたデッキブラシに立ち乗りし、両手を後ろ手に組んだまま、サーフィンをするように追いかけてくる。

「僕もこの波にジョニーし(乗っ)ちゃいますよぉ!?逃げて守ってばっかりじゃ勝てないでしょう!そろそろ得意の炎魔法で戦いませんかぁ??あっ無理かっ!僕が水魔法使いだから!!ふふふん!」


「減らず口……」 

「減らず口じゃなくて実力ですぅ……!」

 ナラハラは彼女を追いかけながら叫ぶ。

「あなたは天才かもしれませんけどね!炎より水の方が強いっ!常識でしょう!!つまり!この俺様が! 世界で一番!強い魔法使いってことなんだよ!!」

 彼はデッキブラシの上で杖を振り上げた。

 物量で押しつぶそうとする水と、左右の高圧水流のビーム、すべての速度が上がった。


(速い――)

 ミシュリーは首を後ろに向け、上空で風魔法を放って、水を吹き飛ばそうとする。

 しかし彼女の起こす突風でも、圧縮された水流はビクともしなかった。

(さすがにダメか。追尾条件は……なるほど、嫌な魔法だわ……)

 

 彼女は丸太をギュンと急降下させた。

 そして地上寸前で飛び降りると後ろを向き、左腕のある一点に魔粒子を集中させ、その腕を真横に伸ばした。

 ナラハラの水魔法は、ミシュリーの胴体――ではなく、ミシュリーがつくった魔粒子の塊を目がけて飛んできた。

 水はミシュリーの顔と左腕の横を、ビシュビシュと通過し、彼女の左手にほんの僅かに、ピッと切り傷をつけた。


 追ってきたナラハラもデッキブラシから飛び降りる。

「さっすがぁ!もう追尾の仕組みもわかっちゃったんですか!」

 ナラハラが興奮して尋ねる。

 

「敵の魔粒子の癖をインプットし、高速で追わせる魔法。しかも相手に当たるまで決して止まらない。

大した難易度ね。確かにちょっとナメてたのよ」

 ナラハラは得意そうにニヤける。

「でしょうー??あなたも本気でやってくださいよ、果ての魔女さん!じゃないと――」

 ナラハラが再び杖を構えると、彼の周りに邪悪な魔粒子が渦巻き出す。

 

「じゃないと、殺しちゃうかもしれませんから――」


ミシュリーは左眉をピクッとさせた。

  

「メキ・ルマータ――」


 

 彼の杖の先から、禍々しい魔粒子を纏った水が、ミシュリーめがけて飛んできた――。

 

 ミシュリーはそれを見て、大きく目を見開いた。


 

 メキ・ルマータ。


 それは、直撃した者を即死させる「死の呪文」である――。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ