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第8話 魔女の予言を聞こう!

 ミシュリーとの特訓が一段落し、俺たちはミシュリーの小屋に戻ってくつろいでいた。


 俺は元の王様の服に着替えていた。マントはさっきのミシュリーとの腕試しで、雑に扱ってボロくなっちゃったので着けていない。

 

「ミシュリーは、この森に一人で住んでいるのか?」

「そうね。トーレスプーシュ家の魔女は、代々この果ての森の中に住んでいるのよ。そもそも、他の魔女がこの森の魔粒子濃度に耐えて住み続けられるとは思えないけど☆」

 

「え゛。ちなみにそれってミシュリーは大丈夫なの?

 ……いや、違うな! それより、俺やトワリやまーくんこそ大丈夫なのか!?」

「キャハハ! 大丈夫なのよ。ミシュリーってば、2人には事前に、魔力コーティングをしておいたのよ♪ いつもの2人なら1日いると少し具合が悪くなってくるかもだけれど、今のみんななら一ヶ月は余裕よね」

 

「そんなこともできるのか。本当にすごいな、ミシュリー」

 

(――実は、コトブキちゃんには何のコーティングもしていないけどね。ものすごい魔力耐性なのよ。ソボロデンブちゃんと違って、生まれつきの魔力もないのにこれとは……)

 ミシュリーは触手をじろじろ眺めながら、考え続けていた。

(まさか意志を持っていたなんてね。何者なのか改めて調べる必要があるのよね――)


「それよりコトブキ様、そろそろこの森に来た目的を果たさなければなりませんな」

「ん? まーくん、なんだっけ」


「特訓も目的のひとつでしたが、もう一つは、ミシュリー殿の予言を聞くことですな!」

「そうだ。ミシュリーは予言の魔女だもんな」


「えー。めんどくさいのよ……」

「ミシュリー! あなたはいつもそうやって……! ちゃんとやってください!」

 トワリが、ケーキを食べながら言った。トワリはいつも何かを食べているね。歯の健康は大丈夫かい?


「わかってるのよ。でも予言するのも、それなりに疲れるのよね。待ってね、準備してくるから!」

 ミシュリーは小屋の奥の部屋へと向かった。


「トワリとミシュリーは、すごく仲が良いんだね」

「ええ、陛下。ミシュリーと私は幼馴染なのです。トワリはこの森の近くの村で生まれましたので」

「いいじゃんか。大事な友達なんだね」


 トワリは眉を上に上げて、その後斜め上を見て考えてから、ちょっと口を尖らせて言った。

「陛下がそう言うなら、そうなのかもしれません」

 トワリもミシュリーに対しては素直じゃないところがあるよね。うんうん。実に解釈一致だよトワリ。


 しばらくそんな他愛のない話をしていると、奥の部屋からミシュリーが戻ってきた。

「お待たせ! 予言の準備ができたのよ♪」


 ◆◇◆


 奥はミシュリーの寝室だった。

 ベッドや鏡台のようなものがある。そう言えばこの世界の女性も、お化粧をしっかりしているよな。

 入り口側の部屋と違って、黄色やピンクの小物の多い、女の子らしい部屋だ。


「ちょっとコトブキちゃん。レディーの部屋をあまりジロジロ見ないのよ!」

「わ、す、すまん! でも、わざわざここじゃなきゃだめなのか?」

「ミシュリーの集中力が必要なのよ。それに、この部屋でする予言が一番当たりやすいのよね。とりあえず、そこの枠の外側に座ってくれるかしら?」


 トワリとまーくんは、勝手知ったる感じで、ミシュリーの部屋の床に四角く組んで置かれた木の柵の周りに座った。

 膝よりも低い高さの木の柵が組まれていて、その周りには、俺たちが座るためのクッションが置かれていた。


「これが予言の道具なのか。どんな予言なんだろう」

「あー、これは道具というよりはフィールドなのよね。道具はこっち」

 ミシュリーは俺に、それらをジャラジャラと見せつけてきた。


 何本もの――鉛筆?


「ただの鉛筆じゃんか……」

「そうよ?」

 よく見るとこの鉛筆、上の方にタロットカードのような絵が描かれている。その下の、六角形のそれぞれの側面には、何やら読めない記号が書いてある。


 ……え?まさかこれって。


「これは!! バトエ――バトルできる鉛筆じゃないか!!!」


「???」


 俺以外の3人は俺を見つめて、頭に疑問符を浮かべている。


「ああ、俺が元いた世界には、鉛筆を転がして、出た面の数字で友達の鉛筆と戦う遊びがあったんだよ。懐かしいな、俺の小学校では禁止されてたんだ」


 トワリが真剣な目でこちらを見ている

「陛下。今度、トワリにそれを教えてください」

「あ、うん。やりたいの?」

 トワリは力強く頷いた。わかったわかった。今度教えてあげるね。


「この鉛筆を何本か転がして、出た面の組み合わせで占うのよ。必要に応じてこのアタッチメントをつけるの」

 ミシュリーは鉛筆に、別の絵が描かれた鉛筆カバーをつけた。

「うわぁ、そんなのもあるのか! 完璧じゃないか! 興奮してきたァ!」

「なんで興奮してるのよ……」

 ミシュリーが怪訝そうにこちらを見ている。悪いなミシュリー、これは男子の大好きなやつなんだ……!


「鉛筆と鉛筆カバーに興奮してるの……? ふぅ、まぁいいのよ」


 ミシュリーは、改まって俺たちに言った。


「――それでは、これよりトーレスプーシュ家に代々伝わる、予言魔法を発動します」


 ミシュリーは、部屋のカーテンを締め、ランプにあかりを灯した。




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