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第33話 着地


「どこでもいいので、私に掴まってください」

「君たち、エリザの身体に触ったら蹴り落とすからね。掴むのは服だよ、服!」

「1人過激派がいるせいで、話がややこしいんですけど!?」


 後から飛んだレオナルドとベルも追いついてくる。それぞれがエリザの制服を掴んだ。


「レーヴァテイン!」


 エリザは魔導剣を呼び出すと、熱魔導を発動させた。絶妙な調整をかけながら、あたりの空気を温める。すると気温差が生まれて――足元から強風が吹きあがった。5人分の体重も簡単に浮かせてしまうほどの風だ。エリザの長い髪がたなびいた。


 気流に乗せられたカガリたちは、ゆっくりと下へと落ちていく。螺旋階段にぐるりと囲まれていて、灯火がぼんやりと揺れていた。


 しばらくすると底らしきものが見えてきた。エリザが魔導剣を戻すと風が吹きやんだ。彼女は靴音を鳴らしながら軽やかに降り立つ。タイミングがわからなかった残り4人は、床に叩きつけられた。


「…………す、すみません」


 恐る恐る身体を起こしてお互いを見る。全員顔が引きつったままだ。ルイはふーっと深く息を吐きだすと、床に手を付いた。


「死ぬかと思った、死ぬかと思った……!」

「さすがの俺も肝が冷えたな。あの高さを飛ばされたのは初めてだ」

「レオじゃ風を作るのは無理。たぶん墜落してた」

「うむ、魔導主体でもあれだけ繊細なコントロールは難しい。無傷で済んだのは奇跡だな。ベルではこうもいかなかっただろう」


 ベルはじろりと睨んだ。否定しないあたり事実なのだろうが、やはり一言余計だった。


「エリザは魔導のかけ合わせや微調整が得意だからね……。何はともあれ、助かったよ」

「お役に立てたなら何よりです。ですがそれより――」


 彼女はあたりを見回す。


「ここはどこでしょう?」


 カガリは制服についた砂埃を払いながら立ち上がって、あたりを見回す。空間は円状に広がっていた。


 壁には螺旋階段が取り付けられていた。ずっと上まで続いているが、天井はどこまでも高く、見上げるだけでも首が痛かった。とても登れそうにはない。なら歩いて進むしかないが、そう簡単な話でもなさそうだ。壁には3つの扉があって、それぞれ別の方へ道が続いている。


「ベル、反響を使え。地図を作る」

「最初に試したときにも言ったけど、すごく広い。時間がかかる」

「構わん。でたらめに歩き回ってトラップを踏むのは、もうこりごりだ」


 ポケットからペンとくしゃくしゃになった紙を取りだしたレオナルドは、どっかりと腰を下ろした。長期戦を覚悟し始めたようだ。


 精密な地図を作ろうと思えば、それだけ魔導の精度が求められるし、地図を描く側の技術もいる。2時間はかかるだろうが、地図なしで進めるほど甘いフィールドでもない。「計算を手伝ってくれ」と声をかけられたルイは、「あ、うん」とそばに座った。


「だったらついでに仮眠も取らない? いったん態勢整えてから進んだ方がいいよ」


 身体も精神も疲れきっている。全員が苦い表情のままでうなずいた。


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