第1話:大きな時計台と約束
小さい頃、街の中心にそびえる大きな時計台の前で、僕たちは出会った。
その日は春の終わりで、空は澄んだ青色をしていた。まだ冬の名残が少しだけ風に混ざっていたけれど、暖かい日差しが僕の肩を優しく押してくれた。
君は、木漏れ日のように笑った。その笑顔は僕にとって、初めて見る光のようにまぶしかった。
「ねぇ、結婚しよう」
僕は、ふざけ半分で、でも少し本気を混ぜて言った。君は目を丸くして、一瞬考え込んだ後、やがて小さく頷いた。
「うん、約束だよ」
その声は、風に乗って僕の胸に届いた。まだ15歳だった僕たちは、世界が永遠に続くと思っていた。
学校が終わったあと、帰り道の商店街でアイスを分け合った日もあった。
放課後の空は、オレンジ色に染まり、まるで僕たちだけの時間がゆっくり流れているかのようだった。
君と手をつなぐのは、少し照れくさくて、でも温かくて、僕はそれが嬉しくてたまらなかった。
けれど、時間は少しずつ僕たちを現実に引き戻した。
高校生になり、それぞれの夢や将来の話をするたび、僕はいつも心のどこかで不安を抱えていた。
「本当に、僕たち大丈夫かな」
誰にも言えず、ただ影のように心に留めていた。
そして、20歳の時、母からその知らせを聞いた。
「……君が、亡くなったって」
言葉は、まるで氷の塊のように胸に落ちて、全身を凍らせた。
僕は泣いた。大声ではなく、ただ静かに、胸の奥からじわじわと溢れ出る涙を止めることができなかった。
それからというもの、街を歩くたび、影を見るたびに、君の影なのではないかと期待してしまった。
でも、目の前に立つのは、ただの通行人。
人は、いつか命を失う。
だけど、彼女は若すぎた。まだ見