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山城史探訪 ~広島の地に眠る物語~  作者: かつを
第2部:中国制覇編 ~激戦と謀略の城々~
59/99

宮尾城、厳島の囮 第5話:絶望の攻防

作者のかつをです。

第七章の第5話、クライマックスの籠城戦の場面です。

 

仲間が次々と倒れていく絶望的な状況。そして、主人公、勘助が初めて人の命を奪う葛藤。戦場の悲惨さを描きました。

 

※この物語は史実や伝承を基にしたフィクションです。登場する人物、団体、事件などの描写は、物語を構成するための創作であり、事実と異なる場合があります。

陶軍の攻撃は、波状攻撃だった。

 

第一陣が退くと、すぐに第二陣が押し寄せてくる。

 

俺たち宮尾城の城兵には、休む暇などなかった。

 

俺、勘助はもうどれだけの石を投げたかわからない。

 

腕は鉛のように重く、喉は渇ききっていた。

 

「庄太! 大丈夫か!」

 

俺は隣で同じように石を投げていた、幼馴染の庄太に声をかけた。

 

「……ああ。まだやれる! 神人根性、見せてやるぜ!」

 

庄太は顔中、すすと泥で真っ黒だったが、その目だけはまだ死んではいなかった。

 

だが、城内の状況は刻一刻と悪化していた。

 

敵の破城槌が城門に取り付き、ズン、ズン、と重い音を立てている。

 

城壁のあちこちから、敵兵が梯子はしごをかけて登ってくる。

 

「防げ! 奴らを登らせるな!」

 

俺たちは槍で敵を突き落とし、煮え湯を浴びせかけた。

 

だが、敵の数はあまりにも多すぎた。

 

一人突き落としても、すぐに二人、三人と登ってくる。

 

「うわあっ!」

 

すぐ近くで味方の悲鳴が上がった。

 

見ると、城壁の上についに敵兵が這い上がってきていた。

 

俺は石を放り出し、竹槍を構えた。

 

「来るなーっ!」

 

俺は夢中で槍を突き出した。

 

ぐにゅり、とした嫌な感触。

 

敵兵の苦悶の表情。

 

俺は人を殺した。

 

神に仕える神人である俺が。

 

吐き気がこみ上げてくる。

 

だが、感傷に浸っている暇はなかった。

 

「勘助! 危ない!」

 

庄太の叫び声。

 

はっと我に返ると、別の敵兵が俺の目の前に迫っていた。

 

もう駄目だ。

 

俺が死を覚悟した、その時。

 

庄太が俺の前に立ちはだかり、その敵兵の腹を槍で貫いた。

 

だが、庄太もまた敵の刃を肩に深く受けていた。

 

「庄太!」

 

俺は駆け寄った。

 

庄太は血の気の引いた青い顔で笑った。

 

「……へへ。神人でも、やるときはやるだろ……? 約束、守れなくて、すまねえな……一杯、やりたかったぜ……」

 

そう言うと、庄太は俺の腕の中でぐったりと意識を失った。

 

俺は叫んだ。

 

友の名を。

 

だが、その叫び声は戦場の喧騒の中に虚しく吸い込まれていった。

最後までお読みいただき、ありがとうございます!

 

親友を失った勘助。彼の心はもはや限界に達していました。

 

しかし、彼らの奮闘は決して無駄ではありませんでした。彼らが必死に稼いだ時間が、ついに奇跡を呼び込みます。

 

次回、「嵐の夜」。

天候が毛利に味方します。

 

物語は佳境です。ぜひ最後までお付き合いください。

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