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山城史探訪 ~広島の地に眠る物語~  作者: かつを
第2部:中国制覇編 ~激戦と謀略の城々~
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比叡尾山城、輝元の決断 第7話:平城の夜明け(終)

作者のかつをです。

第十九章の最終話です。


ついに誕生した「広島」。その名前の由来と、輝元の決断が現代にどう繋がっているのか。

壮大な歴史のドラマを感じていただければ幸いです。


※この物語は史実や伝承を基にしたフィクションです。登場する人物、団体、事件などの描写は、物語を構成するための創作であり、事実と異なる場合があります。

天正十九年(一五九一年)。

 

ついに、新しい城が完成した。

 

太田川のデルタに浮かぶ、広大な平城。

 

五層の天守が空にそびえ、その周りには整然とした城下町が広がっている。

 

かつての湿地帯は、見違えるような大都市へと生まれ変わっていた。

 

輝元は、完成した天守の最上階に立った。

 

川面を渡る風が、心地よい。

 

南には瀬戸内の海。北には山々。

 

「良い眺めだ」

 

ここからは、領民たちの暮らしがよく見える。

 

市場の賑わい、川を行き交う船、子供たちの遊ぶ姿。

 

これこそが、輝元が夢見た「国」の姿だった。

 

「この地に、名を付けねばな」

 

輝元は、傍らの家臣たちに言った。

 

「この地は広い島。そして、毛利の祖である大江広元おおえのひろもとの『広』。……『広島』と名付けよう」

 

広島。

 

その名は、この土地の風景と、毛利家の歴史を繋ぐ、新しい響きを持っていた。

 

「広島城。ここが、我らの新しい本拠地じゃ!」

 

輝元の宣言に、家臣たちが一斉にひれ伏した。

 

山を下り、平地に都を築く。

 

その決断は、毛利家を、そしてこの地域の歴史を永遠に変えた。

 

比叡尾山城は、遠く北の山並みの中に沈み、もうここからは見えない。

 

だが、輝元の心の中には、あの山城で培った「守る心」が、形を変えて確かに息づいていた。

 




……現代、広島市。

 

高層ビルが立ち並ぶ街の中心に、復元された広島城の天守が鎮座している。

 

その足元には、百万人を超える人々が暮らす大都市が広がっている。

 

かつて、一人の若き当主が、家臣の反対を押し切り、泥沼を埋め立てて築いた夢の都。

 

その決断がなければ、今の広島の繁栄はなかったかもしれない。

 

城跡の堀には、太田川の水が今も静かに満ち引きを繰り返している。

 

それは、戦国の世から現代へと続く、途切れることのない時間の流れそのもののように見えた。

 

(第十九章:広島城、誕生の礎 ~比叡尾山城、輝元の決断~ 了)

第十九章「広島城、誕生の礎」を最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!


広島という地名の由来には諸説ありますが、この物語のように毛利家の歴史と地形に由来するという説が有力です。


さて、この長い連載も、いよいよ次が最終章となります。


次回から、第二十章が始まります。

第二十章:包囲の中で茶会を ~茶臼山城、武士の粋~


最後を飾るのは、戦場における「文化」と「心」の物語。

絶体絶命の包囲網の中で、茶会を開いた城主の伝説です。


引き続き、この壮大な山城史探訪にお付き合いいただけると嬉しいです。

ブックマークや評価で応援していただけると、最終章の執筆も頑張れます!

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