表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
山城史探訪 ~広島の地に眠る物語~  作者: かつを
第2部:中国制覇編 ~激戦と謀略の城々~
141/149

比叡尾山城、輝元の決断 第5話:輝元の夢

作者のかつをです。

第十九章の第5話をお届けします。

 

ついに家臣団を説得した輝元。

その背中を押したのは、三原城の実績を持つ叔父・隆景でした。

二人の知将が描く未来図が、重なった瞬間です。

 

※この物語は史実や伝承を基にしたフィクションです。登場する人物、団体、事件などの描写は、物語を構成するための創作であり、事実と異なる場合があります。

膠着する議論を打破するために、輝元は一人の人物を頼った。

 

叔父、小早川隆景である。

 

三原城を築き、水軍と商業の都を作り上げた隆景ならば、輝元の構想を理解してくれるはずだ。

 

三原から駆けつけた隆景は、輝元の広げた五箇の庄の絵図をじっと見つめた。

 

「……なるほど。ここを、埋め立てると」

 

「叔父上、無謀だと思われますか」

 

輝元が恐る恐る尋ねると、隆景は顔を上げ、ニカっと笑った。

 

「いいや。見事な場所じゃ。ここならば、三原を超える都ができる」

 

その言葉に、輝元は救われた思いがした。

 

翌日の軍議。

 

隆景の同席の元、再び議論が始まった。

 

「五箇への築城は、毛利百年の計である!」

 

隆景が、太い声で宣言した。

 

「山城は、戦うための城。平城は、国を富ませるための城。これからの世、戦に勝つだけでは生き残れん。銭の力が、国の力となるのじゃ」

 

隆景の実績に裏打ちされた言葉は、反対派の家臣たちを黙らせるのに十分な重みがあった。

 

そして、輝元も立ち上がった。

 

「皆、聞いてくれ」

 

彼は、自分の言葉で、熱く語り始めた。

 

川を活かした水運。海と繋がる交易。

 

城下町に集まる商人たち。賑わう市場。

 

そして、そこから生まれる富が、家臣たちの暮らしを豊かにする未来。

 

「わしは、この毛利を、日の本一豊かな国にしたいのじゃ! そのための拠点が、あの場所なのだ!」

 

輝元の目には、涙が光っていた。

 

祖父の七光りではない。

 

これは、輝元自身が掴み取った、新しい毛利の夢だった。

 

その熱意は、頑固な老臣たちの心をも動かした。

 

「……殿がそこまで仰るのなら」

 

「我らも、新しい夢とやらに、賭けてみましょうか」

 

一人、また一人と、賛同の声が上がった。

 

ついに、五箇の庄への築城が、正式に決定した。

 

輝元と隆景は、顔を見合わせ、深く頷き合った。

 

それは、毛利家が戦国大名から、近世大名へと脱皮する、歴史的な瞬間だった。

最後までお読みいただき、ありがとうございます!

 

小早川隆景は、輝元の良き理解者であり、後見人でした。彼の存在なくして、広島城の築城はあり得なかったかもしれません。


さて、いよいよ工事が始まります。比叡尾山城は、その拠点として最後の役割を果たすことになります。


次回、「最後の山城」。

変わりゆく景色と、去りゆく時代の物語。


物語の続きが気になったら、ぜひブックマークをお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ