学園4
そんな、自分の事をペット扱いする二人に対してリナは、
『もふもふもふもふ…………』
意に介さずに綿アメを食べ終わると、彼が手にしている焼きそばを睨み付け、
『バシンッ!!!!』
「うぎゃっ!?」
焼きそばを奪うために、手首を思いっ切り叩く。
いきなりの事で、避ける事も出来ずに手首を叩かれて焼きそばを手離してしまうと、
「はっ……!!」
空に浮いた焼きそばをリナが奪い、輪ゴムを外して付属の割り箸を口元に銜えて、割りばしを素早く二つに割り、
『ズルズルズルズル……ズルズルズルズル……』
焼きそばを食べる事に、夢中になり始める。
「う~~……いくらなんでも酷いよ」
『ズルズルズルズル……ズルズルズルズル……』
焼きそばを奪われた当の本人は、叩かれた手首をさすりながら、涙目でリナに文句を言うが、獲物を食べる事に夢中なリナは相手にしない。
「ダメだよ小乃木……理性が無い時のリナにイタズラしたら」
ツバメは、彼こと小乃木に近付くと手を握り、手首を優しく擦ってあげる。
「あ、ありがとう」
ニッコリと笑う小乃木の顔にはさっきの涙目は無く、子供の様な無邪気な顔でいる。
『ズルズルズルズル……ズルルルル』
パックの中で鎮座していた焼きそばを、一心不乱にお腹へと場所を移すと、理性を取り戻して我に戻ったリナの目の前には、ツバメとリナが手を握っている姿がある。
「……ツバメと小乃木っていつも仲良いよね。なんで付き合わないの?」
自分が小此木に対して何をしていたのか忘れ、それによって起きた事と違う記憶を創る。
とぼけた事を言うリナに、小此木とツバメの二人が笑ったままリナに近付き、
『ペシンッ』
「ぷけっ」
小乃木は華麗にジャンプしてから頭をはたき、
「……」
『フニャッフニャッ』
ツバメは黙りながらゴムボールを掴むように、リナのホッペタをつまんで遊ぶ。
『フニャッフニャッ』
「ふぇふぇ」
「フニャッフニャッフニャッ」
「ふぇふぇふぇふぇ」
「フニャッフニャッフニャッフニャッフニャッフニャッ」
「ふぇふぇふぇふぇふぇふぇふぇふぇ」
「もうそれ位で……」
小乃木が、ちょっとやりすぎじゃないですかとツバメの肩をチョンチョンとするが、
「もうちょっとだけ……」
「はひゅけて……ほのき」
リナの頬っぺたの触り心地が良いのか手を止めず、頬っぺを『フニャッフニャッ』とされるリナが、涙目になる羽目になった。