鳥かごの空2
「待たせちゃったかな?」
「うぅん、そんな事ないよ」
持って来たバスケットを置いて、中から料理を次々と取り出して並べていく。
それはいつもの日常、いつもの日々が帰って来たという事なのだが、
「……火内君は、あれから調子はどう?」
「体の調子?ドラゴンにならなれるよ」
少しだけ変わった事がある。
結局、大型のドラゴンになってしまった火内をどうしようかと話をしていたのが、
『…………』
疲れた息を吐き出して、肩の力を抜くとあっさりと人間の姿に戻った。
本人の話だと、ドラゴンになるにはイメージと同時に力を溢れ出させるのが大切らしく、それの逆の方法で戻ったらしいので、
「……うぅ~~~~ん!!!!」
「……ドラゴンになろうとしてる?」
「なれないかな?」
「レインさんの話だと、ドラゴンの魂の欠片……なのかな?それが魂の中にあるかが需要らしいから」
ドラゴンになろうと真似をしてみるが、ドラゴンになる条件が無いのだから、ドラゴンにはなれない。
「レインさんって、火内君の中にいたドラゴンスよね?自分達の中にも誰かいるんスかね?」
「どうだろ?かなり特別な存在じゃないとダメなんじゃないのかな?」
「そうスか……所で小此木はどうしたスか?」
「よっ!!お前等、ご相伴に預かり来たぜ」
「アネキ……!!っと……」
「ふふっ…お邪魔だったかな?」
「ガルルル……」
「唸らないでミィオ、ツバメさんとリナは仲が良いんだから」
小此木の名前を出した所で丁度、小此木がツバメと美優を連れて来ていた。
「ありがとうございます。そしたら残りも、こちらに並べて貰って」
「あいよ」
火内に言われて、美優達は持って来たバスケットの中から、料理を取り出すと次々と置いていき、全てを置き終えるとみんなで料理を取り囲む。
「ほんとにスゲェなお前、これだけの料理が作れるんだからな」
「料理は本の通りに作っただけですよ。口止めに大量の食材を貰えたので、みんなのリクエストに応えられて良かったです」
「口止めなぁ……良く頑張ったなお前等、アタシ等がいなくても撃退したんだろ。エルフのRLHを」
「いえ…痛み分けみたいな形です」
「なに言ってんだよ、全員が五体満足で帰って来れて痛み分けな訳は無いさ。なぁツバメ」
「みんな、無事に帰って来れて良かった」
美優とツバメは、四人から話を聞かされている、エルフのRLH、侵略の話……それに火内の身に起きた事。
「ツバメ、アタシ等が戦ってたら、生き残れたかよ?」
「もちろん生き残れるし、もしも私達も一緒だったら、一人だけ残して後は始末して、捕まえたRLHを拷問して、住処を吐かせて殲滅までしたかな」
「おぉ恐い恐い」
「ツバメさん、片桐さん、その話は後にして食事にしましょう。せっかく火内君が作った料理があるんですから」
「おっ、そうだったな」
「そうだね、小此木」
食事時にするには、ちょっと物騒な話になって来たのを小此木が話を切り上げて、
「それじゃ…リナ」
「えっアタシ?火内君じゃなくて?」
「作った本人が、音頭を取るのは恥ずかしいかな」
「一番の功労者は、一番最初に命を張ったリナスから」
「……うん!!それじゃあみんなで……頂きます!!!!」
「「「頂きます!!」」」
リナの声に合わせ、みんなで料理に手を伸ばすのであった。
才能ー始まりの者語ー 完
次回作は 才能ーモンキー・ジ・アタックー の掲載を予定しております(間違って、すでに公開してるかもしれませんが)
ここまでお付き合いして下さった方々には、お礼申し上げます。
もし良ければ、次回作も応援して頂けると嬉しいです。
それでは、ありがとうございました。