始まる者達57
目を潰した感触に、指に絡まる『ドロッ』とした水晶体……目を潰したというのを教えてくれる感触……それにドラゴンもどきの悲痛な叫び声……普通の感情が残って入れば、ここで自分のやっいる事に戦慄を覚えただろうが、
『グゥオゥゥッゥオォォオアァアァァア!!!!!!!!』
ドラゴンにそんな感情は沸かない。
水晶体が纏わり付く手を握り、拳を原人に振り下ろすと、
『ドシィィィィィィ!!!!!!』
『……!!!!』
原人の側をかすめたが、当たらない。
それはさっきの逆の状況。
決してドラゴンの動きが遅いのではないのだが、原人の方が体が小さくて小回りが効く。
ドラゴンが二発目の拳を撃ち込もうとした時には、原人は先の方へと飛び出し、
『スパァン!!』
「うぐぅ⁉」
相棒の肩を吹き飛ばした敵の体を、くの時に折る。
「このぉぉぉぉ!!!!」
見た事の無いパワードスーツを着た敵が、こちらに剣をかざして突っ込んで来たので、くの字に折った敵のそのまま掴むと、突っ込んで来る敵に投げ付けると、見た事の無いパワードスーツを着た相手は、剣を下ろして、投げられた者を抱きとめる。
『………』
その隙に原人は、肩を吹き飛ばされて気を失っている相棒を、天秤のように肩に抱えて……
『ウゥゥウゥガガアガガァアアァアァァアアァアァアァアァァァアァァッァァ!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
ドラゴンが雄叫びを上げて走って来る、怒りに任せて、自分の事を殺すために向かって来る。
原人は、相棒を肩に抱き抱えたまま、ドラゴンに正面から向き合うと、
『……………………………!!!!!!!!!!…………………………!!!!!!!!!!!……………………………………!!!!!!!!!!』
大きな感情をドラゴンにぶつけるのであった。
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リナも、小此木もやられて、怒り狂った火内はドラゴンの力のままに暴れ狂い、諸悪の根源を殺そうと拳を振り上げたが、
(ここで手打ちで良いだろ!!!!!!!!!!二人は死んでいない!!!!!!!!!!!!それとも全てを失ってでも、相手を滅ぼしたいか!!!!!!!!!!)
原人の思念が、ドラゴンと化した火内に直接響くと、火内の手が止まる。
(俺は相棒を連れ帰る事が出来れば、それだけで良い……帰らせてくれ……)
原人の訴えは、決して嘘ではない……本当に殺し合いを最後までやるというのなら、あの白く発光した時点でリナを殺し、小此木の腹を容赦無く貫いただろうが、それをしなかったのは、ここで戦いを終わらせようと話をしたかったから。