始まる者達56
(いけない……)
眩い閃光が走った瞬間に、小此木は態勢を戦う形に戻す。
ミィオに決着のバトンを渡そうとしていたが、握り締めなおして、閃光に備え……
『スパァン!!』
「うぐぅ⁉」
腹を貫かれた……
________
次々と呼応していく。
RLHに馬乗りにされた原人は、最期を覚悟して、せめて相棒の姿を今一度見ようとしたが、その相棒の肩が吹き飛ばされる光景を目の当たりにして……キレた。
自分が終わるというのは受け入れる事が出来るが、相棒の死というのは受け入れられない……受け入れられない感情が爆発し、相手からの暴行を防ぐという感情が搔き消されると、顔の前で防御していた手が大地に触れて……
『…………!!!!!!』
大地の底に眠るマナが自分の中に染み込んで、白い閃光が自分を包み込み、体が熱くなって頭の中がスパークすると、自分に跨っていたRLHが弾け飛ぶ。
自分の中で何が起きているのか分からないが、
(間に合う!!)
今の自分なら相棒を助けられる……そう思った次の瞬間には、白い閃光を纏ったまま、白い稲妻となって……相棒の下へと駆け寄る。
『グッッウゥゥウゥゥルルルゥォオォォォォオオォ!!!!!!!!!!!!』
だが、そんな自分を……ドラゴンが怒り狂って襲って来る。
ドラゴンもどき達を相手にしていたドラゴンだが、仲間を弾き飛ばされたのを見て狂暴化する。
確かにドラゴンは戦っていた……が、そこにはどこか倫理観があった。
ぶつかり合っての殴る蹴るの暴行ではあるが……
『ガシィ!!』
『ギョ!?』
『メギメギメギメギ!!!!!!!!』
『ギャァオォオォ!?!?!?!?』
『バァギィィ!!!!!!』
相手の頭に噛み付いて、そのまま粉砕するのと比べれば、ぶつかり合っての殴る蹴るなど可愛い物である。
今、ドラゴンは感じている……骨を砕いた感触、脳みそ、目玉、毛が口に触れる感触、熱い血液の温度と味を舌が感じている……それは人間なら吐気を催す程の気持ち悪さであるが、
『グッッウゥゥウゥゥルルルゥォオォォォォオオォ!!!!!!!!!!!!』
『ブシュゥゥ!!!!!!』
ドラゴンには関係無い。
頭を砕いて仕留めたドラゴンもどきの頭ごと、怒りのままに歯ぎしりすると、口から血が絞り出されて溢れ出る。
そして、最後のドラゴンもどきが反撃と言わんばかりに、ドラゴンの首に噛み付いて、喉を食い千切ろうとするが、
『ブチュ!!』
『ギャィイン!?!?』
ドラゴンは爪を立てると、喉に噛み付いて来たドラゴンもどきの目を潰す。