始まる者達52
押し合いの圧し合いで、バランスを崩して自分達の方に倒れ込んで来る。
このままここに居たら、二人とも押し潰されてしまうが、
「…………」
『…………』
お互いに目を離さない。
これは機会が来たのだ。
ここで倒れ込んで来る巨体をどう避けるかで、戦いの流れが決まる。
二人ともそそくさと逃げれば、また膠着状態が続くが、ここで逃げ出した奴の背中を捕らえれば、相手を落とせる。
だからリナと原人は睨み合って動かない……相手を仕留める為にギリギリの…ギリギリまで耐える……お互いの、ここで避けなければ踏み潰されてしまうというラインを超えるまでの戦い。
『『ドスドスドスドスドスドス!!!!!!!!』』
三体の巨体が倒れて来る……三体の巨大な肉体が頭上に迫り……
『…………』
先に逃げ出したのは原人の方であった。
このままでは押し潰されてしまうと判断し、その場から離れるのだが、
「…………」
それを待っていたと言わんばかりに、相手が突っ込んで来る。
倒れ込んで来る三体の巨体の下を潜り抜けて、こちらへと向かって来る……が、
『…………』
原人は、慌てふためく事は無い。
確かにこれは、どれだけ巨体なドラゴンもどきとドラゴンが倒れ込んで来るのを我慢出来るかという我慢比べだが、我慢し続けて踏み潰されては意味がないのだ。
原人は、リナと戦う事で身体能力がどれほどの物なのか把握している。
三体の巨体が倒れ込んで来る時に外へと逃げ出したのなら、押し潰される事は無かっただろうが、欲をかいて三体の巨体の下を潜ってこちらに向かって来ている。
『…………』
念の為に視線を切らないようにしながら、自分を追い掛けて来る相手を見るが……やはり、間に合わない。
自分の力を過信したのか、それとも焦ってしまったのか……見当違いをしたのは向こうだ。
『…………』
ここから何が出来るかと見せて貰おうとも思ったが、そんな事をしている余裕は無い、前の方にいる相棒はまだ戦っている、何か苦戦をせざるを得ない状況なのだろう。
人間のRLHが押し潰される所を確認してから、ここでの決着が付いたら相棒の方へと行かなければ……
『ドッッッシィィィィィィンンンン!!!!!!!!』
その時、大地を叩き付ける音が響いた。
やはり人間のRLHは間に合わなかった……三体の巨体の下を潜り抜けるには時間が間に合わなかった……全てが予想通りであった……が、
「うぉおぉぉぉぉぉぉぉおおぉお!!!!!!」
一つの予想外によって、人間のRLHが突っ込んで来る。