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始まる者達48

まだ、思い出の底には辿り着いていなかった。


(お前の隊長は片桐かたぎり 美優だ。アタシの庇護にいる限り、お前を守ってやる)



差し出しされた美優の手と握手をする。



(…あぁ……そうか……あるんだ……新しい思い出が……)



途切れた思い出と共に消え、また生まれ変われば良いやと思ったが……思い出の続きがある……



「み…んな……」



思い出の続きの先のみんなは……



「守ら…なきゃ……」



まだ生きている。



事切れる一歩手前で、体の中に残されていた酸素で息を吹き返す。



これが最後のチャンス……寝起きのように目をか細く開けて……炎が景色を包んでいる……心が生きねばと…みんなを守らなければと……戦う事を望んでいる……もう一度目が閉じてしまう前に……ドラゴンもどき達を仕留めなければ……



(私は、もう逝かなければならない)



(レ…イン……)



一度は助けてくれて、ドラゴンに導いてくれたレインが、さよならを伝えて来る。



(レ…イン……さん……)



滅び逝く体を見捨てられてしまい……レインは逝ってしまうというのだろうか?もう一度だけ力を貸して欲しいと……もう一度だけ導いて欲しいとお願いしようとしたが、言葉が詰まってしまったが……



(心配しないで、私は君の味方だよ)



(レ…イン……さん……)



レインは、火内の苦しみと不安を察して、優しく言葉を掛ける。



(君がこのまま死ぬ事を受け入れて、次の命に託すというのなら、君の魂を護ろうと思ったけど……君は生きたいんだね)



(は…い……)



レインが逝ってしまうのは、火内を見捨てるからではない、レインはあの世に逝こうとしたが、火内はこの世界に残ると決めたから……そんな火内を連れてはいけない。



(君にもう一度きっかけを与える…………見て感じて欲しい……こればかりは、君が目覚めないといけない)



(は…い……)



火内は、これから何をするのかというのは聞かない……説明しても良いのなら、レインは説明してくれる……レインがそれをしないのは……



(さぁ、空を見上げて)



(は…い……)



空を見上げた時…そこにはレインがいた。



「…………」



それは、これから(かえ)る為に自分の体から抜け出た、レインさんの魂。




(あれ…が…そう……レインさん……)



炎に包まれていても、闇夜を飛んで逝くレインさんが視える。



あの大きな背に乗せて貰って、深層心理の世界を飛んでくれた……大きな羽を優雅に羽ばたかせて……威風堂々……その大きな存在感は、友には帰るべき場所のような安堵を与え、敵には、如何なる者も寄せ付けないという威圧を与える。

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