表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/169

学園14

手元に残されているのは、コルク弾が一発だけ装填された一挺のコルク銃……それが意味するのは、



「あぁぁぁあぁぁぁぁ俺の食券がぁぁぁあぁぁぁ」



「なんで一年生が勝つと思ったんだよ……一年生云々(うんぬん)じゃなくて無理だろ」



「だって倍率考えたらぁあぁぁぁぁ」



正規の賭けで、赤髪の少年に賭けた者達が、嘆く姿からでも察する事が出来る……赤髪の少年が勝つ可能性は無い。



何発のコルク弾を当ててビクともせず、一発の弾丸を当てただけでは、どうにもならないのは最初の一発で判明している。


「撃たなければ結果が出ない何て、甘い事を言うなよ!!」



店主の言う通り前例があり、前例以上の事をした以上、ここで撃たなかったから結果は出ないという言い訳は出来ない。



『カタッ……』



たった一発のコルク弾では、結果がどうなるか分かっていると言っても、このコルク弾を無駄に出来ない。



「うぅ……頼むよ~~」



「学食でデザート付けてあげるよ!!」



周りの期待を一身に受けて、赤髪の少年はコルク銃のトリガーに指を掛けて、



『パン……コンッ……』



「あぁぁあぁぁぁぁぁぁ」



「あちゃ~~~~」



最後に放たれたコルク弾が跳ね返されて、明後日の方向に飛んで行くのと一緒に、賭けに負けた者達の声もどっかに飛んで行く。



「…………」



決着は付いた。



赤髪の少年は、黄金の胸像を脳裏に焼き付けるかのように睨み付けたが、借りたコルク銃を何も言わずに台に置くと、無言でその場から離れて行き、



「はっはっはっはっ、見たか御神体の力を!!」



その姿を見た店主は、体を震わせて嬉しそうに高笑いをして、赤髪の少年が去っていくのを勝ち誇る。



「アタシの勝ちだから、ご飯よろしく!!」



「ハァ~~……店主が勝つのは分かっていたんだから遠慮してよ……」



「ぐわぁ~~俺のコレクションがぁ~~~~!?」



「だから無謀だって言ったんだよ」



そして、この戦いに賭けをしていた者達のそれぞれが、喜びと悲しみを入り交じらせながら、最後の清算を始めた。



ざわめく時間、宴の最後に店主は、



「まぁ、最後まで諦めずに立ち向かって、負け犬の遠吠えを吠えないのは立派だがな!!」



この祭りを盛り上げた赤髪の少年を、(たた)えるのであった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ