始まる者達39
暗い闇の森の中からでも、輪郭が見えるシルエットの大きさは人のそれではなく、トラックがこちらに迫るかのような迫力。
「なんだこれ!?」
森の中を這い出るかのように、太い木の幹を掴みながら、こちらの方へズンズンと向かって来るのは象……?いや……
『『ギョォオォエェエェエェェェ!!!!!!!!』』
その姿は異形そのもの。
象のような分厚い皮膚を持つ巨躯に、象のように太い足……だけではなく、
『『メキメキメキメキ………!!!!!!』』
巨人のような太い二本の腕で木々を鷲掴みにする。
『『バサンッバサンッバサンッ!!!!!!』』
それに象のような巨躯に負けない、これまた大きな蝙蝠のような大きな羽が『バサンッバサンッ!!!!』と羽ばたく。
『『グルンッグルンッ!!!!』』
そして、長い長い象の鼻が伸びているのだが…それは象の鼻ではない……それは象の鼻のように長い長い首で、
『『ギョォオォエェエェエェェェ!!!!!!!!』』
鼻の先端にはあの、耳の長い原人の顔がある。
「こいつは……」
森の中から迫る巨大な影、それを象のように例え……実際、哺乳類である象をモチーフにしているのであろうから、その表現で間違えはないのだが、
「こいつは……!!!!」
もう一つ、別の表現の仕方がある。
象のような巨躯……人間のような腕……コウモリのような膜を持つ羽……そして象の鼻のように長い首……それを別の例えをするのなら……
「ドラゴンの真似をして!!!!」
哺乳類の寄せ集めで創った、ドラゴンもどき。
「この世から消してやる!!!!」
ドラゴンの尊厳を破壊するかのような醜い化け物、まだドラゴンになってから一刻立つかどうかという所ではあるが、この屈辱的な生物に怒りが沸く。
火内は、哺乳類の寄せ集めで創られたドラゴンもどきを許さないと、自らドラゴンもどきの方へと突っ込むのだが、
『『ギョ…ギョ……』』
こちらに動きに合わせて、ドラゴンもどきが首をグネグネと動かしたかと思った次の瞬間、
『『ギョォェェェェェェェ!!!!!!!!』』
「炎!?」
ドラゴンもどきが炎を吐き出し、暗い森の中が赤黒く照らし出される。