始まる者達38
パワージャケットGーC24、対RLの名は伊達ではない。
高い電圧を掛けられても負荷が掛からず、バッテリーがイカレル事も無ければ、システムに異常がきたしてエラーを吐く事も無く、着用者に一切の苦痛を与えない。
(これがパワージャケット……スか)
後頭部を殴られ、抱き着かれての放電の爆発を一切意に介さない。
「……支援に戻るッス!!」
このパワージャケットなら前線に出ても戦える……そう考える事も出来るのだろうが、ミィオは前に出る事無く、沙羅曼蛇を手にすると、
『ブゥブルッゥゥゥゥゥゥ!!!!』
沙羅曼蛇を低速で回し、弾丸を節約しながら修行僧を追い払う。
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「うおぉぉぉぉおおぉぉぉ!!!!!!」
『ブゥブルッゥゥゥゥゥゥ!!!!』
攻守共にリナ達の方が優勢となり、
『グゥルゥオォォオォォォォォ!!!!!!!!』
敵だった存在から獲物に変化した敵を捕らえては、一体ずつ処理する。
『ドッスン!!』
火内は木々の間を飛んで、森の中を必死に駆ける修行僧を捕まえ、地面に叩き付けて押さえ付けて、
『バァッゴォッン!!バァッゴォッン!!バァッゴォッン!!バァッゴォッン!!バァッゴォッン!!』
顔面に拳を何度も入れて、仕留める。
「ふぅ……」
もう少しで敵を殲滅出来る……一度気を入れ直して、最後の狩りを……
「……なんだ?」
最後の狩りを始めようとした所で、何かを感じた。
『『ガ……サ……ガ……サ……ガ……サ……ガ……サ……ガ……サ……ガ……サ……ガ……サ……ガ……サ……』』
離れた所から聞こえる木々を擦る音……それは増援が来た音といえばそうなのだが……
「なんだ…この感覚……」
音だけではない…それとは違う何かを感じて……
『『ガ…サ…ガ…サ…ガ…サ…ガ…サ…ガ…サ…ガ…サ…ガ…サ…ガ…サ…』』
こちらに近付いて来れば来るほどに、何かのプレッシャーを感じて……
『『ガサガサガサガサガサガサガサガサ!!!!!!!!!!』』
「みんな気を付けて!!何か来る!!」
『『ギョォオォエェエェエェェェ!!!!!!!!』』
火内の叫び声の警告と同時に、森の中から聞いた事の無い鳴き声を上げながら、二つの巨大な影が飛び出して迫る。