始まる者達37
ミンクよりも優れているのかもしれないが、肉体は人間よりのフォルム。
ミンクに防げなかった高周波ブレードを、筋肉量の劣る修行僧に防ぐことは叶わず……
『シャンシャンシャンシャンシャンシャン!!!!!!!!!!!!』
「ぐっ……⁉」
何も出来ずに真っ二つに裂かれて、犬死にするという幕引きに待ったをかける修行僧がいる。
彼もまた回り込んで、他の者を攻撃する役目を与えられていたのだろうが、無惨な殺され方をした仲間の為に……死に際に助けを求めていたのに、助けられなかった事に対する贖罪なのか、狙う相手を変えると、
『シャンシャンシャンシャンシャンシャン!!!!!!!!!!!!』
修行僧は尻込みをしたり、相手の武器に怯えて逃げ出したりしないで突っ込む。
肩を回しながら腕を回転させ、腕を一回でダメにする無茶苦茶な急速蓄電をして、
『グゥオゥゥッゥオォォオォオォォオォォォオオォォ!!!!!!!!!!!!!』
『バチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチ!!!!!!!!!!!!!!』
仲間の死を犬死にはさせないと、自分の身を焼くのを厭わずに、ミィオに抱き着いてそのまま放電をする。
最大に電力を溜めた状態で、相手が逃げられないように抱き着くその行いは、間違い無く一人一殺の必殺技。
相手が着用しているパワードスーツが、高い電力によってダウンする事を知っている。
これで、この恐ろしい武器を使うパワードスーツは動かなくなって……
『ギュィン……』
『…………っ』
必殺の放電を浴びているはずのパワードスーツの頭が、こっちを向く…こっちを見ている……
『シュゥゥゥーッ!!!!』
この放電は、相手の予備電源すらいからせる……パワードスーツが動くはずがない……例え相手が、例の剣を振りかざしているのが見えたとしても、それは……放電によって脳が痺れて幻覚を……
『シュッパァァァァァァァァァ!!!!』
幻覚の剣が眉間に触れると、そのまますんなり自分の体の中に入っていく……痛みも無く、苦しみも無く……剣が体に入り込む訳が無い……これはやはり幻覚なのだと、一安心して目をつぶると、
『ァァァァァァァァァン!!!!!!』
そのまま意識が途絶えるのであった。