始まる者達31
こうしてミンクの魔の手から逃れ、それどころか各々でミンクを撃退する事が出来た……彼等にとって、この訓練は辛くも、最高な結果で終わったと結ぶ事が出来れば良かったのだが、
「それでみんな、無事に合流出来たけのは嬉しい事なんだけど……今こっちにね。RLHが向かって来てるの」
「RLH?リナ以外のRLHがここにいるの?」
「うん、それも複数人で、私達と敵対する形で」
リナは、和気あいあいとした雰囲気を壊すかのように本題に入る。
エルフの話を簡単に、自分よりは肉体的には劣るが、何か魔法みたいなものを使う事と、この山の中で行動する事に手慣れているのを伝える。
「RLHか…ユナは知っていたのか……自分の娘の事だもんな」
「…言えなかったんだ……RLHは極秘中の極秘で、中にはよくなく思っている奴もいるから」
「仕方無い事だ……話を受け入れよう。だとしたら、そのRLHは普通の人間である私とユナ、普通のパワードスーツを着ている小此木は不利な状況だという事か……リナ、好きな武器を」
「ハンドガンを、お願いします」
「分かった」
教官は自分の持っているハンドガンを渡すと、リナは手慣れた手付きで、ハンドガンの動作確認をする。
その動きは軍人そのもので、訓練兵と呼ぶにはあまりにも失礼な程であった。
リナが、ユナの娘だから、そういう事に詳しくてもすんなりと納得したが、もう一人、リナと近しい人物がいて、
「そういえば……小此木、お前はシミュレーションで、地下に都市があるのを知っていたな」
「……蛇の道は蛇です。僕も軍人です」
「こんな子供が……」
「心中はお察しします」
常日頃から、リナと一緒にいる小此木もまた軍人であった。
「階級や所属に付いては言えませんが、今は同じ階級だと思って頂いて構いません」
「なるどな……教官と生徒という関係では無いという事か」
「ここは戦場ですから」
小此木もまた、RLHやドラゴン、特別な兵器を持っている訳でないにしても、彼もまた特別な存在であった。
RLH、ドラゴン、新型のパワージャケットに、正規の軍人が三人となれば、その戦力は十分で、六人の特殊部隊として、人類を滅ぼそうとするエルフのRLHと対峙することを決心すると、
「……来る!!」
「RLHなら、あたしの方が強いんだ!!」
「やるッス!!」
ドラゴンである火内が、森の中にいるエルフのRLHに勘付いたの皮切りに、臨戦態勢に入るのであった。