始まる者達30
『カチャ!!』
「リナがいるんだ!!銃口を向けるな!!」
「ユナ!!」
教官は、こちらへと向かって来る青いドラゴンにマシンガンを向けるが、ユナが、銃口の先を抑えて下に下ろさせる。
二人が一触即発の状態になり、口論が始まろうとした所で、
「大丈夫だから!!このドラゴンは味方だから!!」
リナが両の手を前に突き出して、争ないでとジェスチャーを送ってくるので、
「……分かった、銃口を向けない」
「わりぃな、あたしの大事な一人娘なんだ」
「分かってる」
教官は撃たないと、リナの手を銃口から外すのであった。
『バサッ…バサッ……』
青いドラゴンは、リナを抱えているからか、ゆっくりと羽をはばたかせて、ヘリコプターが着地するかのように慎重に地上に降り立ち、
「ミィオ!!小此木!!無事だったんだね!!」
二人が無事であった事に、安堵しながら喜ぶのだが、
「自分達は無事だったスけど……」
「……ユナさん、ドラゴンって飼った事ありますか?」
「エサが肉なら、あんな高い物を毎回毎回は買えねぇぞ……いや、リナのボディガードに軍で飼うか……」
「リナなら飼えるか……」
ミィオ達四人は、目の前のドラゴンが気になって仕方ない。
リナの事を抱きかかえて連れて来てくれたのだから、敵意が無いのは分かるし、好意的な存在だというのは分かるが……人類の長い歴史の中で、ドラゴンの飼い方というのは同人位でしか存在しない。
「ねぇ…黙っていた方が良いよね?」
四人で、目の前のドラゴンをどうするかと悩んでいる時に、青いドラゴンの正体を知っているリナは、どうしようかと相談すると、
「いや…みんなにも言おう、これからあいつ等が来るんだから」
青いドラゴンは、みんなになら自分の正体を明かして良いと、四人の方に改めて向き合う。
「火内です…火内 刃です」
「火内……君?」
人間だった火内がドラゴンになっている事に、小此木は目を細めて、本当に本人なのか怪訝そうにするが、
「みんなで、火内君の事を探し回っていたんスよ!!」
「ありがとう……詳しい事は後で話すけど……ミィオも随分と立派になったね」
「これの事ッスよね?これはパワージャケットっと言って、超最新型の兵器ッスよ」
ミィオは、青いドラゴンが火内だとすんなりと受け入れて、無事にみんなと再会出来た事を喜ぶ。