始まる者達29
「…………」
「信じられない?」
火内から聞いた、エルフとの因縁……普通なら、にわかには信じ難い話ではあるが、
「信じるよ……だって私はRLHだから」
「……そうだよね、リナもだもんね」
「うん!!」
リナの満面な笑みは、火内の話を受け入れてくれる。
「それでさ、リナ」
「うん」
「あいつらを何とかしないと」
「エルフのRLHをだね……」
地上では、あの修行僧の格好をしたエルフのRLHが走っている。
「強そうだけど、火内君は大丈夫?」
「もちろん、人類のRLHと一緒だから……そういうリナは?」
「私だって大丈夫だよ、ドラゴンと一緒なんだもん」
二人は顔を見合わせて、お互いに頷き合う。
「とにかく、ミィオ達と合流しよう」
「ミィナの居場所が分かるの?」
「……何となくね」
火内は、目を細めて森の中を見渡すと、森の中に何かを感じ取り、
「行くよ!!」
「いつでも!!」
『バサンッ!!』
リナを抱えたまま、森の中に感じた方へと向かうのであった。
________
「火内君!!聞こえる!!」
「返事をしてッス!!」
通信が出来なくなって、最悪の状況を考えないといけないのだが、
「小此木、あいつもRLHだっていうのか?」
「はい、シミュレーションの映像を見ましたよね」
「体力検査の時の印象だと、そうは思わなかったが……確かに、あのタフネスさは尋常じゃなかったが……」
そこでユナが口を閉じたのは、タフネスというのはあくまでも、相手にやられても即死しないという話であって、やられる事が前提という話……もしも、火内のRLHとしての力が本当に人よりも、苦痛に耐えれるというものだというのなら……
「RLHはそんな簡単に死にませんよ。どこかで生きて隠れてます」
「……そうだな」
生きていたとしても、どんな状況でいるか分からない……それこそ、四肢のどれかは虫のように、もげているかもしれない……そんな想像をしてしまうが、それでも、小此木達は必死に探しているのだから、火内の事を見付けてやらないといけない。
声を出すのはミィオと小此木の二人にさせて、ユナと教官の二人は周囲を警戒する。
全員で前へ前へと進みながら、火内の事を見落とさないように進んでいると、
「…………」
「どうかしたミィオ?」
「変な感じがするッス……」
「変な感じ?」
ミィオが足を止めて、前の方を注視する。
何かが見える訳ではないのだが、何かがこちらに向かって来ている……それが何なのかは分からないが……
「ミィオ!!小此木!!」
「リナ!?リナスか!?」
突然聞こえたリナの声の方に視線を向けると、そこには、
『バッサンッ!!』
リナを抱えた青いドラゴンが、こちらへと羽をはばたかせながら、こちらへと降りてくる姿があった。