始まる者達28
大地に降り注ぐ咆哮は、滝のように降り注いで来て体が震える。
(なに…これ……)
体が勝手に警戒をしている…戦えと…争えと……
リナは、自分が危機的状況に陥っているのも忘れて、闇夜を見上げて、何が空にいるのかと目を凝らすと、
「青い…ドラゴン……核露……雫?」
記憶の中の見覚えある青い色をしたドラゴンがこちらへと、一筋の矢となりて向かって来る。
体はドラゴンを見て、殺せ!!敵だ!!と叫ぶが、
「火内君…助けに来てくれたんだ……」
リナの理性は、本能に従う事は無かった。
「リィィナァァァアァァァァァアァァァ!!!!!!!!!!!!!!」
「火内君!!!!」
『バァサァァァァアァァァッッッ!!!!!!』
『グゥオゥゥッゥオォォオォオォォオォォォオオォォ!!!!!!!!!!!!!!』
『『『…………っ⁉』』』
突然、大地に降り立った青いドラゴン。
周囲にいる修行僧達に咆哮を浴びせると、修行僧達は怯えすくんで、森の奥へと引っ込む。
「行くよリナ!!」
「うん!!」
『バァサァァァァアァァァッッッ!!!!!!』
火内は、散った修行僧を追うのではなく、リナを抱きしめると羽を大きく羽ばたかせて、その場から空へと一気に飛び上がる。
『…………っ!!』
修行僧達も、突然の訪問者に怯えて逃げ出してしまったが、獲物を連れていかれた事に気付いて、
『『『『シャンシャンシャンシャン!!!!!!!!バチバチバチバチバチ!!!!!!!!』』』』』
腕を振って今一度蓄電を行い、青いドラゴンに向かって、雷を放出するが、
『バッサァァ!!!!』
青いドラゴンは難なくと空で放物線を描いて、雷を難なくと避けるのであった。
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「ふぅ……助かったよぉ……ありがとうね……火内君で良い?それともドラゴンさんって呼んだ方が良い?」
「好きな方で良いよ…よく自分が火内って分かったね」
「うん…火内君は嫌がるかもしれないけど、綺麗な青い瞳と髪を覚えてたから」
「そっか…ありがとう……」
一度は、自分ではないと言った青い瞳と髪であるが、その青をリナが覚えてくれていたのは、有難い話であった。
「ところでさリナ、怪我は?」
「私は大丈夫、火内君は?」
「見ての通りだよ、大丈夫どころかドラゴンになっちゃったよ」
二人は闇夜の中に飛び上がって、ひとまずの安寧の中で互いの無事を確かめ合い、
「ところで、さっきのあれは?」
「あれは…多分RLHだよ……」
「RLH…エルフのRLHか……」
「エルフ?エルフって何のこと?」
「……それなんだけどさ」
火内は、自分の中で教えて貰った事をリナに教えてあげるのであった。