始まる者達23
自分の事を取り押さえる者を振り払いたいと、泣きじゃくりながら腕を振っただけなのに、それがドラゴンの怒りを買う。
必死に怖いモノを振り払おうと、ブンブンと振っているだけの腕に合わせて、ドラゴンが拳を振り下ろす。
右に腕を振れば、左から拳が殴りつけて来て、左に腕を振れば、右から拳が飛んで来て、力任せに殴られる。
なんと傲慢な生き物なのだろうか?
弱者の少しだけの抵抗に憤怒して、殴り付けて来る。
死にたくないと…生きたいと願う行為を決して許さないと力任せにねじ伏せてくる。
『うっ…うぅ……』
あまりにも残酷な行為、一方的な暴力…そんなに耐えかねて……振り払っていた手を、ドラゴンを殴る為に拳に握り返して、
『……うっ…うあぁあぁぁぁ!!!!!!』
ドラゴンの顔目掛けて、拳を突き出すが、
『スッ……ガシッ!!』
『ひぃ……!?』
突き出した拳は空を切り、逆に腕を掴まれてしまうと、
「うぉおぉおぉぉぉおぉぉぉぉ!!!!!!」
『バァッゴォォン!!!!!!』
先程とは逆の立場だ、そのまま木に叩き付けられてしまう。
『うっぐっ……!?』
なんと理不尽な目に合っているのだ……抵抗した事が、ドラゴンの怒りに火を注いだ。
地面にうずくまったミンクを、ドラゴンは無理矢理に立たせると木にもたれかかせて、
『バッチィ!!!!バッチィ!!!!バッチィ!!!!バッチィ!!!!バッチィ!!!!バッチィ!!!!バッチィ!!!!バッチィ!!!!』
サンドバッグを叩くように、体の全体重を乗せての全力のフルスイングで、ミンクを殴り付ける。
一発殴られて、拳が体にめり込むごとに体が壊される。
骨にヒビが入り、肉が腫れて、骨が砕けて、肉が潰される……死が近付いて来る。
『バッチィ!!!!バッチィ!!!!バッチィ!!!!バッチィ!!!!バッチィ!!!!バッチィ!!!!バッチィ!!!!バッチィ!!!!』
(もう分かった……分かったから……)
『バッチィ!!!!バッチィ!!!!バッチィ!!!!バッチィ!!!!バッチィ!!!!バッチィ!!!!』
(この世には…絶対に逆らってはいけない……存在がある事を思い出したから……)
『バッチィ!!!!バッチィ!!!!バッチィ!!!!バッチィ!!!!』
(例え生まれ変わったとしても……もう二度と反抗しないから……)
『バッチィ!!!!バッチィ!!!!』
(だから……もう許して下さい……)