学園12
やろうとしている事は、様子を見れば分かる。
コルク銃を一斉に撃つか、連射するか……お店に置かれている物を、そのまま使うのならその辺りが妥当な方法で、
「そんな物で、御神体を倒せるものかぁ!?」
店主の言う通り、コルク銃を並べただけでどうにかなるものではない……が、もしも何かあるとしたら、
「あれを借りに行って来たのか……」
「まぁ…似合っていると言えば似合ってるけど……」
赤髪の少年が、魔法使いのコスプレをして来た事であった。
太陽の光から体を守るかのように大きな三角帽子、周りから姿を隠すために、大きな襟が立ったグローブ。
コスプレ大会に出れば、上位入賞は間違い無く出来る容姿をしている……しかし、それが何なんだという話。
「…………」
赤髪の少年は、台に置いておいたコルク銃を1つ取り、校長の黄金像に狙いを付けて、
『パンッ…コンッ……』
先程と同じように打つと、何も変わらずにコルク弾がは黄金の胸像にぶつかって弾き飛ばされるだけ。
「ふっふっふっふっふっ……無駄と分かってて挑むか?」
「………」
店主からの挑発に、赤髪の少年は何一つ動揺を見せずに、あたかも予定通りだという雰囲気で、今撃ったライフルにコルク弾を詰めてから、もう片方の手でコルク銃を取ると、
「おぉ、やっぱりそう来るか!!」
「よっ!?目にも止まらない早撃ちガンマン!!」
野次馬と化した上級生達が囃し立てる。
赤髪の少年のコスプレは魔法使いなのだが、
「くっくっくっくっくっくっ……ガンマンか……どんなに速撃ちをしても、物理的に無理なもんは無理なんだよ!!」
テンションの上がっている店主も、ガンマンとして相対する。
「ふぅ……」
だが、赤髪の少年にとってはガンマンだろうが、魔法使いだろうが関係無い。
だが、一つ言うのなら、今の赤髪の少年は、華々しく喝采を受ける正義の保安官というよりは、仇を目の前にして獰猛になっている無頼者と言った方が正しい。
台の上に置いてあるコルク銃の数、位置を目視で確認し終えると、
『パンパンパンパンパンパン……コンッコンッコンッコンッコンッコンッ!!!!!!!!!!!!』
「「おぉ!!」」
流れるように次々とコルク銃を掴んでは、コルク球を黄金の胸像にぶち当てるのであった。