始まる者達20
「君の仲間が、君がタフネスなのはRLHだからと言ったが、それは違う!!」
「あっ……」
人を背中に乗せる程に、大きな体だったドラゴンが小さくなっていき、
「君は彼の魂を受け継いでいるんだ!!君はドラゴンなんだ!!それはタフネスなんて話じゃない!!君の生命力は、ドラゴン由来のものなんだ!!」
ドラゴンの姿が人になると、目の前に現れたのは鏡映しの自分。
「これから私がするのは、君の中のドラゴンの力を目覚めさせるのに力を貸す事……君がドラゴンとして目覚めれば、苦難に直面する事になるかもしれない……でも、君はそれを望むのだろ」
「……聞きたい事が」
「なんだい」
「何故自分なんですか?」
それは至極全うな質問。
自分は決して特別な家系では無い……珍しいと言えば日本人である事位な物で、ドラゴンと関わるような家系では無い。
「……うん、それは……例えば大統領の息子、首相の子供がいたとして、その子供達が何で、国のトップの人間の下に生まれたって言われたら、偶然としか言いようが無いよね」
「自分にドラゴンの魂が混ざり込んだのは偶然と?」
「でも、君がドラゴンの魂と結合してくれて良かったと思う……他の人だったら、ここまで来れなかったかもしれないから」
自分の姿になったドラゴンは手を伸ばす、それは握手をしようという事。
「あなたの名前は?」
「私かい?私の名前はレイン」
「レイン……?そっくりな名前ですね」
「そうだね…なにせ君の名前は……」
「雫です」
二人は手を握ると、ドラゴンは姿をまた変えていく。
それは頭を垂れて眠りに付いた彼の様に、人型のドラゴンへと姿を変えて、雫をドラゴンへと引っ張っていく。
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『ギャッイン!!!!』
『ゥグゥオァ!!!!』
焔の狼が、ミンクに殴り飛ばされて宙を舞って、そのまま木に叩き付けられてしまう。
焔の毛色が美しい狼であったが、どうやらRLのような何か特別な肉体を持っている訳では無く、単なる獣がRLに戦いを挑んでいたらしく、
『ガッシィ……』
『グゥルゥゥ……』
時間を重ねるごとに、身体能力の差が出て、ただの獣はRLに追い詰めらていた。
大きな腕で体を掴まれた焔の獣は、抵抗する事も叶わずに、なすがままに、
『バッゴォッン!!』
『ゴフゥ…………』
地面に叩き付けた勢いで、胸を握り潰された。
焔の狼は口から鼻から血を噴出させると、体をグッタリさせて終わってしまった。
『ドサッ……』
死に体となった焔の狼を、もう一つの亡骸である人間の方へと投げ飛ばすと、
『ゴォウ……』
『グゥォ……』
事は済んだと言わんばかりに、二体のミンクは、先に行った仲間の下へと向かおうと……
「うぉおぉあぁあぁぁあぁぁぁぁぁぁあぁ!!!!!!!!!!!!!!」
殺したはずの人間が立ち上がって、雄叫びを上げる。