始まる者達19
「多くの者達が住まう星、その多くの者達がマナを使って生活を成り立たせていて、マナの消費量が問題となっている所に、Bの世界の魂がやって来てマナを食い潰し、汚染までされる……この事実を知っているエルフは怒りを覚えつつも、Cの世界は滅びると見切りを付けた」
「……この世界を奪う為に、兵を準備しているとかですか?」
ここまで話が進んだら、嫌でも話が見えて来る。
自分達の方が先に喧嘩を売ったとしても、自分達の世界を滅びる世界にされて黙っていられる訳が無い。
「……もう侵略はされているんだ、この世界は」
「えっ……」
ドラゴンは頭を下げて、目を閉じる……何かを思い出しているかのように、肩を大きくすくめて、溜息を吐いた。
「君の言う通り、滅びるCの世界に見切りを付けたエルフ達は、Bの世界に来たんだ」
「でも、こちらの世界に来る扉は?それにエルフ何て見た事なんて無いです……」
自分が知っている、あの耳の長いエルフだというのなら、今まで生きていて見た事は無い。
「魂が行く事が出来る位には完成したんだ……エルフ達は魂となってBの世界に来て、そして、多くの生物達に憑りついた」
「憑りついた?」
「RL……急激な進化、急激に知性を付けて、急激に暴力性が増した……それはエルフ達の魂と結合した事によって起きたんだ」
「…………」
「本当なら人間に憑りつければ、奴等としては良かったのかもしれないけど、人には高度な知性があったから難しかったんだろうね……話を戻すと、魂だけになってBの世界に来たエルフ達は、他の生物達の魂と結合して、この世界を支配しようとしている」
「……それを彼は止めたかったんですか?」
頭を垂れるドラゴン、力尽きて眠るその姿は戦って戦って……最期の時を迎えるその時まで、戦い続けたのだろう。
「そう……だけど、それは彼だけじゃない。多くの霊能者に神父、シャーマンに超能力を持つ者達…アフレクションネクロマンサー……向こうの世界から来たエルフの侵略を防ぐ為に戦ったんだ……」
「でも…負けてしまったんですね……」
ドラゴンが言う事が事実で、現在の状況を加味したら……過去にエルフの侵略に対抗しようとした者達は負けてしまい……世界は……
「負けてない!!」
「……っ!?」
そこでドラゴンが力強く声を張り上げて、
「確かに、我々はエルフの侵略を防ぐ事は出来無かった……でも、この世界を完全に支配された訳じゃない!!多くの者達が命を散らしながらも、この世界を守り!!次の世代にバトンを渡したんだ!!」
鋭い目付きを自分と合わせる。