始まる者達15
「そう、私は他の世界から来たんだけど……異世界から来た……う~ん……世界はいくつもあるんだけどA、B、C、Dとそれぞれ世界があると考えて欲しい」
「はい……」
「君がいる世界はB、私がいた世界はD」
「そうなんですか……」
唐突な話に、気の抜けた返事しか出来無い。
「私達の世界は基本的には交わったりしないのだけど、次元に裂け目が出来たりして、異世界に行ってしまう者がいて、それを君達は神隠しとかで表現している」
「それじゃあ、あなたはその神隠しでこの世界に?」
話の流れからすれば、横にいるドラゴンが自分の世界にいるのは、次元の裂け目に落ちて来たという事になるが、
「うぅん、それは違うんだ」
「違うんですか」
どうやら話は、そんな単純ではないらしい。
「Dの世界からBの世界にいきなり行く事もあるけど、原因はCの世界にもあるんだ」
「原因はCの世界にも?」
「Cの世界、そこはエルフ達が住んでいる世界だったんだ」
「エ…エルフですか……その随分と話が……」
「話が飛躍しているかい?でもね世界は沢山あるんだ。爬虫類が世界を支配した世界もあれば、昆虫が世界を支配した世界もある。それに哺乳類が支配した世界と言っても、人間では無くてネズミが支配した世界だってあるんだよ」
「…………」
にわかには信じ難い話であるが、ドラゴンが冗談を言っているようには見えない。
「まぁ、その話は置いといて……Cの世界にいるエルフはある事に気付いていたんだ、異界から来た者達がいるという事に。裂け目から落ちて来る者は様々な知識を持ち、多種多様な力を持っていた……それに目を付けたエルフが、Dの世界に住むリザードマンを召還して、Bの世界に送り込んだんだ」
「それは何の為に?」
「最初は次元の裂け目を超えるのに、強靭な肉体、強靭な精神力……があると良いんだけど、結局は運否天賦も必要で、多くの者を送る事で次元を超える為の実験にされたんだ」
「そしたら、彼は次元を飛ばされた者という事ですか……あっ…でも彼はこの世界で生まれたって…………」
そこまで説明されたら、彼が何者かというのは掴む事が出来る……深い眠り付いてしまった彼の正体は……
「彼の正体は異次元に飛ばされて、この世界に辿り着けたドラゴンの子孫なんだ」
異世界からのドラゴンが残した、この世界で生まれたドラゴン。