始まる者達8
「お前なら分かっていると思うが、無駄弾を使うなよ!!」
「了解!!」
赤外線を通して、森の中にいるミンクを見ると、腕を盾にして木の裏に隠れている。
こちら側にも武器を持った小此木が来た事で、ミンクは手当たり次第に突撃するのを止めて警戒し始めたのだが、
『ドォゴンッ!!』
「まだ形勢逆転とまではいかないか!!」
教官の方で、まだミンクが突撃して来る。
「ミィオはどうした!!武器は持たせたんだろ!!」
「えぇ!!今降りて来ますよ!!」
『ドォゴンッ!!』
繰り返されるミンクの突撃、あまり調子付かせては、奴等の士気が高まるばかりであまり良い事は無い。
ここらでしっかりと、互いに対等な状況である事を認識させないと、ミンクはもっと激しい攻撃を仕掛けて来る。
『ドォゴンッ!!』
「ミィオ!!ミンクを倒せとと言っているんじゃない!!頭数がこっちにもある事を教えるだけで良いんだ!!」
中々降りてくる気配の無いミィオに、戦場で縮こまってしまったのかと思い、とりあえずの人数揃えで良いから、降りて来てくれと声を掛けた所で、
『カシュンッ……』
ミィオがトラックから降りて来る気配がした。
「よしっ!!そのままアイツの方に行け!!」
こんな土壇場の所で臆病風に吹かれたのかと肝を冷やしたが、さすがの美優の妹分という所。
降りて来るのに時間は掛かったが、そんなのはいくらでも目をつぶれる。
これで頭数が揃い、互角になったと思ったのも束の間、
『グゥォオォオォォ!!』
「ミィオ避けろ!!」
トラックから降りて来た所を狙って、ミンクが突っ込む。
ミンクにトラックの中に乗り込む所を見られ、中に一人残っているのを気付かれてしまっていたのだろう。
「小此木!!支援!!」
「いえ!!目の前のミンクを抑えます!!」
小此木に弾幕を張るように命令をしたのに、小此木は命令を無視して、森の中で息を潜めるミンクに牽制をする。
「何をしている!!」
森の中からミィオを狙ってミンクが飛び出し、ミィオの事を殺そうと太い腕を伸ばし……
『ブゥゥゥブルッッゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!!』
戦闘機に搭載されているガトリング砲の音、独特な音が流れるのがミィオから聞こえると、
『ウゴオォオォォオオォォオォ………………!!!!!!!!』
太い腕がこそげて、体中の肉という肉が吹き飛んで地面に倒れた。
「ミィオ……」
『カシャン…カシャン…』
「GーC24…どうしてミィオが……」
トラックの影から姿を現したのは、中央基地で実地試験が出来ずに保管されていた、新型のパワージャケットであった。