始まる者達4
「火内!!」
RL達と斜面を転がり落ちる火内。
手を伸ばした所で助ける事等叶わないのに、ミィオは手を伸ばして助けようとするが、
「走るよ!!」
「でも!!」
「武器が無い!!」
「この先にだって無い!!」
「ある!!RLが来ているのに、武器も持たずに来てたらぶっ飛ばす!!」
伸ばした手を握られて、無理矢理に走らされる。
「~~~~~っ!!!!」
リナを…火内を……非力な自分に助ける手立てがないのは分かっている……けれど……
「それとも一緒に死ぬか!?ただ殴られてグチャグチャの肉になって!!復讐すら出来ずにか!?」
「……一人で走れる!!」
「それで良い!!」
ミィオを小此木の手を振り払うと、後ろ髪を引かれる思いを断ち切って……一心不乱に前を走る。
リナも火内も無事だと信じ込んで……救援しに来た人達と合流すれば二人を助けられると信じて……自分達は無事に帰れると信じて……誰かが死ぬという考えを一切しないで、一心不乱に走り続けて……
「道だ!!」
「……!!!?」
一心不乱に走り続けた先には道があった。
二人は森の中から抜けて舗装された道路の上に飛び出すと、
「その辺の木を折っておいて!!」
「分かったッス!!」
ミィオは自分達が飛び出した所がどこか分かるよう木の枝を折り、
「……良い子だ!!もう来てる!!」
小此木は発煙筒の先を擦り、赤い光を吹き出させて地面に放り投げると、
「行こう!!」
「了解ッス!!」
二人は遠くから見える、救助に来た車のライトに向かって走り出す。
『ブロォォォォォ……』
向こうもこちらに気付いたのか速度を落として、自分達に横付けすると、
「お前達無事だったか!!」
「ユナさん!!地獄に仏だ!!」
救助に来てくれたのはユナさんであった。
「リナと火内は……残ったのか?」
「はい……」
「ユナ銃を持て、二人を助けに行くぞ」
トラックの後ろを開けて出て来たのは、シミュレーションの時にいた教官。
彼もパワードスーツを着用し、既に体中に弾薬やら手榴弾を備えている。
「分かった、二人はここで待ってろ」
「待って下さい!!自分達も!!」
「分かりましたユナさん」
「小此木!!」
『ゴンッ!!』
「ミィオ……君はもう少し、物事の流れというのを考えた方が良い……」
ここで初めて小此木が怒って、ミィオの横腹を強く殴った。