始まる者達3
リナがRLにやられてしまったのではない。
リナ一人ではRLの群れを全て抑え切れる訳も無く、リナが相手に出来無いRLは必然的に、逃げ出した小此木達を追う。
『『『『ガサガサガサガサッッッ!!!!!!』』』』
「もう近くまで……!!」
「地の利はRLにあるッス……!!」
『『『『ガサガサガサガサッッッ!!!!!!』』』』
もう姿を隠すつもりのないRLの全力の追跡、自分達を追い込もうと左右から、木々が色めき立つかのように騒がしい。
「このまま走るんだ!!道路は近い!!RLだって山の中を走っている獲物をそう易々と捕らえられない!!」
小此木が大きな声を上げて、二人を鼓舞する。
袋のネズミと化した自分達、巾着袋を締め上げるようにRLに逃げ道を塞がれたら死ぬ。
(くっ…武器さえあれば……)
訓練だと油断した自分が馬鹿であった、銃の一つや二つ、荷物の中に紛れ込ませるのなんて容易だったのに、久しぶりの学生気分で心が浮ついた。
「二人共……!!」
「俺が残る!!」
ここでどんな気の利いた言葉を掛けても、RLからは逃れられない……こうなったら、自分が犠牲になろうと声を上げ掛けた所で火内が叫ぶ。
「リナほどじゃないとしても!!俺がこの中で一番動ける!!」
「火内!!それはダメ……」
「君もRLHの可能性がある!!」
RLHじゃない火内が犠牲になろうとするのを、ミィオは止めようとしたが、小此木が火内をRLHかもしれないと言い出す。
『『『『ガサガサガサガサッッッ!!!!!!』』』』
「あの時のシミュレーションの時から思ってた!!君はRLHじゃないのかと!!RLHは必ずしもリナみたいなタイプではないと!!それぞれの各々の特別な力があると!!」
『『『『ガサガサガサガサッッッ!!!!!!』』』』
次第に狭まる包囲網、RLは小此木達を袋叩きにしようと逃げ口を絞る。
『『『『ガサガサガサガサッッッ!!!!!!』』』』
「君がしぶとかったのは精神的な物だけじゃないはず!!君がタフなのはRLHだからだ!!」
「ありがとう小此木!!」
『『『『ガサガサガサガサッッッ!!!!!!』』』』
RLに追い付かれて狭まれ、もう潰されてしまうという状況に陥った時、
「うわぁあぁあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
『『『『グォオォオォォ!!!?』』』』
火内が横に飛び出してぶつかった事でRLの雪崩が起きて、火内とRL達は山の斜面を転げ落ちて行くのであった。